脳卒中と診断されていた脊髄出血性疾患の6例

脊髄出血性疾患は, 頭蓋内の出血性疾患に比して経験することが少ない. しかし近年, 画像診断の進歩, 特にMRI撮影の高速化により, 従来考えられていたほどまれなものではないことがわかってきた. 今回われわれは, 当科で経験した脊髄出血性疾患の中で, 初診時に脳卒中と診断されていた症例を中心に報告する. [対象と方法] 対象は1998年9月から2003年11月までに当施設で経験した脊髄脊椎手術2263例である. このうち脊髄出血性疾患は13例(0.57%)であった. その内訳は, 脊髄硬膜外血腫が10例, 脊髄硬膜下血腫が1例, 脊髄くも膜下血腫が2例であった. 髄内出血の手術症例は経験しなか...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 33; no. 4; pp. 279 - 283
Main Authors 戸井, 宏行, 平澤, 元浩, 永廣, 信治, 西田, 憲記, 井上, 崇文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2005
日本脳卒中の外科学会
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Summary:脊髄出血性疾患は, 頭蓋内の出血性疾患に比して経験することが少ない. しかし近年, 画像診断の進歩, 特にMRI撮影の高速化により, 従来考えられていたほどまれなものではないことがわかってきた. 今回われわれは, 当科で経験した脊髄出血性疾患の中で, 初診時に脳卒中と診断されていた症例を中心に報告する. [対象と方法] 対象は1998年9月から2003年11月までに当施設で経験した脊髄脊椎手術2263例である. このうち脊髄出血性疾患は13例(0.57%)であった. その内訳は, 脊髄硬膜外血腫が10例, 脊髄硬膜下血腫が1例, 脊髄くも膜下血腫が2例であった. 髄内出血の手術症例は経験しなかった. この中で, 初診時に脳卒中と診断されていた症例は6例であった. これらの症例について出血原因経過などを考察した. [結果] 初診時に脳卒中と診断されていた6例の内訳は脊髄硬膜外血腫が3例, 脊髄硬膜下血腫が1例, 脊髄くも膜下出血が2例であった. 出血原因として確認されたのは, 脊髄動静脈奇形からの出血が1例, 脊髄根動脈瘤の破裂が1例であった.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.33.279