右胃大網動脈を用いた冠動脈バイパス術後の胃癌に対し胃切除術を施行した3例

「はじめに」右胃大網動脈(RGEA)は冠動脈バイパス術(CABG)で用いられるグラフトとして内胸動脈に次ぐ頻度で使用される. グラフト術後の遠隔期成績の向上と患者の高齢化に伴いCABG後胃癌手術症例が増えているが, RGEA使用CABG後に胃癌が発生した場合の治療方針に関しては一定の見解は得られていない. RGEAグラフト血管鞘を露出し郭清することで, 冠動脈血行再々建を行わずに幽門側胃切除術を施行した3症例を経験したので文献的考察を加えて報告する. 「症例1」患者:74歳, 男性. 主訴:下血. 既往歴:不安定狭心症に対してRGEAを用いたCABGを施行した. 現病歴:CABG施行3年後,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 13; no. 1; pp. 42 - 47
Main Authors 安藤, 文彦, 金沢, 義一, 菅野, 仁士, 萩原, 信敏, 塩田, 吉宣, 藤田, 逸郎, 野村, 務, 内田, 英二, 柿沼, 大輔, 松谷, 毅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2017
Online AccessGet full text
ISSN1349-8975
1880-2877
DOI10.1272/manms.13.42

Cover

More Information
Summary:「はじめに」右胃大網動脈(RGEA)は冠動脈バイパス術(CABG)で用いられるグラフトとして内胸動脈に次ぐ頻度で使用される. グラフト術後の遠隔期成績の向上と患者の高齢化に伴いCABG後胃癌手術症例が増えているが, RGEA使用CABG後に胃癌が発生した場合の治療方針に関しては一定の見解は得られていない. RGEAグラフト血管鞘を露出し郭清することで, 冠動脈血行再々建を行わずに幽門側胃切除術を施行した3症例を経験したので文献的考察を加えて報告する. 「症例1」患者:74歳, 男性. 主訴:下血. 既往歴:不安定狭心症に対してRGEAを用いたCABGを施行した. 現病歴:CABG施行3年後, 下血を認め, 精査にて胃癌を指摘された. 上部消化管内視鏡検査:胃体中部大弯に0-IIc型病変を認めた. 腹部造影CT検査:リンパ節および遠隔転移は認めなかった. 3-D血管構築画像ではRGEAバイパスは右冠動脈抹消まで造影され開存を確認した.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.13.42