ABO不適合臍帯血移植後の血液型検査における検査法別の評価

ABO不適合臍帯血移植後の血液型精査における検査法別の比較を行った.2016年5月~2018年10月に移植を行った72例[主不適合(M群):34例,副不適合(m群):25例,主副不適合(Mm群):13例]を対象とした.移植後,直近3カ月以内に輸血歴がない時点で初回フォローとし,カラム法(C法)と試験管法(T法)で,ドナー型への変化をオモテ試験で,抗体の推移をウラ試験で,患者型抗原の消失確認を吸着熱解離試験で,さらにABO遺伝子タイピングを実施し,検査法間で比較検討した.オモテ試験ではT法よりC法がドナー型への変化を認めたが部分凝集の検出感度がT法より劣る点と自動機のノズルが採血管最下層で血球を...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 66; no. 3; pp. 524 - 530
Main Authors 髙橋, みどり, 関, 紀子, 櫻井, 梨恵, 芳野, 達弘, 水村, 真也, 吉井, 真司, 府川, 正儀, 牧野, 茂義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 25.06.2020
日本輸血・細胞治療学会
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.66.524

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Summary:ABO不適合臍帯血移植後の血液型精査における検査法別の比較を行った.2016年5月~2018年10月に移植を行った72例[主不適合(M群):34例,副不適合(m群):25例,主副不適合(Mm群):13例]を対象とした.移植後,直近3カ月以内に輸血歴がない時点で初回フォローとし,カラム法(C法)と試験管法(T法)で,ドナー型への変化をオモテ試験で,抗体の推移をウラ試験で,患者型抗原の消失確認を吸着熱解離試験で,さらにABO遺伝子タイピングを実施し,検査法間で比較検討した.オモテ試験ではT法よりC法がドナー型への変化を認めたが部分凝集の検出感度がT法より劣る点と自動機のノズルが採血管最下層で血球をサンプリングするため,比重の軽い新しいドナー由来赤血球を的確にサンプリングしない問題があり結果の解釈には注意が必要であった.吸着熱解離試験では50.0%(19/38例)で患者型抗原の残存を認め,ドナー型への変更時期を逸する可能性が示唆された.遺伝子タイピングは全例ドナー型へ変化したが,他法と結果が乖離する問題があった.以上より,移植後の血液型精査はT法単独で実施可能と考えられた.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.66.524