当院における局所進行切除不能膵癌に対する治療戦略

局所進行切除不能膵癌に対する化学放射線療法の意義については議論が分かれるところであり,その意見の統一をみない.今回我々は,2001年4月~2011年6月の間に当科で化学療法あるいは化学放射線療法が行われた局所進行切除不能膵癌症例計154例を対象に,治療成績について後ろ向きに比較検討を行った.生存期間中央値は化学療法単独施行群(103例)と化学放射線療法群(51例)でそれぞれ13.8ヶ月と12.7ヶ月であり,有意差は認められなかった(p=0.825).Cox比例ハザードモデルによりリンパ節転移,年齢について調整を行った後の,化学放射線療法群の化学療法単独群に対する死亡ハザード比は0.94(p値0...

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Published in膵臓 Vol. 28; no. 1; pp. 42 - 48
Main Authors 今岡, 大, 水野, 伸匡, 清水, 泰博, 原, 和生, 肘岡, 範, 田近, 正洋, 近藤, 真也, 田中, 努, 永塩, 美邦, 長谷川, 俊之, 大林, 友彦, 品川, 秋秀, 関根, 匡成, 坂口, 将文, 吉澤, 尚彦, 丹羽, 康正, 山雄, 健次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2013
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Summary:局所進行切除不能膵癌に対する化学放射線療法の意義については議論が分かれるところであり,その意見の統一をみない.今回我々は,2001年4月~2011年6月の間に当科で化学療法あるいは化学放射線療法が行われた局所進行切除不能膵癌症例計154例を対象に,治療成績について後ろ向きに比較検討を行った.生存期間中央値は化学療法単独施行群(103例)と化学放射線療法群(51例)でそれぞれ13.8ヶ月と12.7ヶ月であり,有意差は認められなかった(p=0.825).Cox比例ハザードモデルによりリンパ節転移,年齢について調整を行った後の,化学放射線療法群の化学療法単独群に対する死亡ハザード比は0.94(p値0.997,信頼区間0.60~1.50)であった.当院における局所進行切除不能膵癌に対する治療において,化学放射線療法の化学療法に対する優越性は認められなかった.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.28.42