急性膵炎を契機に発見された紡錘細胞型膵退形成癌の1例

症例は51歳,男性.背部痛を主訴に受診した.血中アミラーゼ(475IU/l)と尿中アミラーゼ(3945IU/l)の上昇を認め,腹部造影CTにて膵頭部に15mm大の低吸収腫瘤および膵体尾部の腫大がみられた.膵腫瘍疑いおよび急性膵炎の診断でPET-CT施行したところ,膵頭部にFDGの集積を認めたため,膵腫瘍精査目的にて入院となった.血液検査ではCA19-9 178U/ml,DUPAN-2 199U/ml,Span-1 71U/mlと腫瘍マーカーの上昇を認め,内視鏡的逆行性膵管造影時に行った膵液細胞診はclass IIIであったが,画像所見から膵頭部癌と診断し,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した...

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Published in膵臓 Vol. 31; no. 1; pp. 85 - 92
Main Authors 路川, 陽介, 中原, 一有, 末谷, 敬吾, 森田, 亮, 北川, 紗里香, 白勢, 大門, 小林, 慎二郎, 大坪, 毅人, 土居, 正知, 高木, 正之, 伊東, 文生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 25.02.2016
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Summary:症例は51歳,男性.背部痛を主訴に受診した.血中アミラーゼ(475IU/l)と尿中アミラーゼ(3945IU/l)の上昇を認め,腹部造影CTにて膵頭部に15mm大の低吸収腫瘤および膵体尾部の腫大がみられた.膵腫瘍疑いおよび急性膵炎の診断でPET-CT施行したところ,膵頭部にFDGの集積を認めたため,膵腫瘍精査目的にて入院となった.血液検査ではCA19-9 178U/ml,DUPAN-2 199U/ml,Span-1 71U/mlと腫瘍マーカーの上昇を認め,内視鏡的逆行性膵管造影時に行った膵液細胞診はclass IIIであったが,画像所見から膵頭部癌と診断し,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織所見は,退形成癌(紡錘細胞型),pT2,pN3,M0,fStage IVbであり,術後化学療法を施行したが術後1ヶ月で局所再発,3ヶ月で多発肝転移,腹膜播種を認めた.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.31.85