輸血医療におけるトレーサビリティ確保―医療施設で収集すべきチェック項目の設定
「はじめに」血液製剤はヒトの血液を原料としているため, その使用によって発生する副反応をゼロにすることは不可能である. 世界の輸血副反応の安全監視体制 (ヘモビジランス) は, 国により様々なシステムを運用している. 血液事業者の形態や輸血副反応を収集・解析する組織も, 国が直接関与する場合, 赤十字社の場合, 独立した血液事業者の場合など国によって構成が異なっている. 我が国の輸血副反応のヘモビジランスシステムは, 医薬品医療機器法及び安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律に基づき, 受血者における有害事象は各医療施設から日本赤十字社, または重症例に限っては直接国へ報告することとなっ...
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Published in | 日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 65; no. 6; pp. 876 - 881 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
20.12.2019
日本輸血・細胞治療学会 |
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Summary: | 「はじめに」血液製剤はヒトの血液を原料としているため, その使用によって発生する副反応をゼロにすることは不可能である. 世界の輸血副反応の安全監視体制 (ヘモビジランス) は, 国により様々なシステムを運用している. 血液事業者の形態や輸血副反応を収集・解析する組織も, 国が直接関与する場合, 赤十字社の場合, 独立した血液事業者の場合など国によって構成が異なっている. 我が国の輸血副反応のヘモビジランスシステムは, 医薬品医療機器法及び安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律に基づき, 受血者における有害事象は各医療施設から日本赤十字社, または重症例に限っては直接国へ報告することとなっているが, 医療施設からの自発報告が中心のため必ずしも輸血副反応の全容が把握されていない. 副反応軽減を目指す上で副反応の発生原因を把握しておくことは極めて重要であり, 副反応の発生原因を恒常的かつシステマティックに調査検討するためには, 供血者の選択から受血者の転帰まで (Blood transfusion chain) を追跡できるトレーサビリティシステムを構築することが最も有用な解決策となる. |
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ISSN: | 1881-3011 1883-0625 |
DOI: | 10.3925/jjtc.65.876 |