新生児脾損傷の診断に造影CTが有用であった1例

我々は,極低出生体重児に腹部造影CT検査を施行し,複雑深在性脾損傷(IIIb)を診断し,保存的治療に成功した症例を経験した.症例は,日齢1男児.在胎27週5日で既往帝王切開のため緊急帝王切開で出生した.出生時体重1,085 g.Apgarスコアは8/7.呼吸窮迫症候群に対して,出生8分後に気管挿管施行し人工呼吸管理を行った.生後16時間で腹部膨満と全身蒼白がみられ,血液検査でHb 5.7 g/dlと著明な低下を認めた.腹部超音波検査で,腹水と脾門部血腫を認めたが,脾損傷の確定診断はできなかった.腹部造影CT検査を通常量70%のイオパミドール静脈投与で施行し,脾門部血管損傷(HV)のない複雑深在...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 56; no. 1; pp. 91 - 94
Main Authors 筧, 紘子, 宮國, 憲昭, 吉村, 萌, 尾花, 和子, 花田, 学, 秋岡, 祐子, 大澤, 威一郎, 古村, 眞, 國方, 徹也, 荒尾, 正人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.02.2020
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.56.1_91

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Summary:我々は,極低出生体重児に腹部造影CT検査を施行し,複雑深在性脾損傷(IIIb)を診断し,保存的治療に成功した症例を経験した.症例は,日齢1男児.在胎27週5日で既往帝王切開のため緊急帝王切開で出生した.出生時体重1,085 g.Apgarスコアは8/7.呼吸窮迫症候群に対して,出生8分後に気管挿管施行し人工呼吸管理を行った.生後16時間で腹部膨満と全身蒼白がみられ,血液検査でHb 5.7 g/dlと著明な低下を認めた.腹部超音波検査で,腹水と脾門部血腫を認めたが,脾損傷の確定診断はできなかった.腹部造影CT検査を通常量70%のイオパミドール静脈投与で施行し,脾門部血管損傷(HV)のない複雑深在性脾損傷(IIIb)と診断し,輸血による保存的治療を開始した.新生児のCT検査には,造影剤投与は推奨されないが,投与量について考慮し,輸液を負荷することで安全に検査が施行でき,有用な情報が得られるものと考える.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.56.1_91