インプラント周囲への軟組織増大について
歯科用インプラントは現在欠損補綴のオプションとして広く臨床応用され,今日ほとんどのインプラントの専門医はオッセオインテグレーションの取得は当然のこととして,審美的な外観の獲得にまで焦点を移している.したがって,歯科用インプラント周囲の軟組織の増大というテーマは,ゆっくりとしかし確実に関心のある分野になってきている.インプラント周囲組織への軟組織増大については,1990年代後半より,角化歯肉の不足する部位への遊離歯肉移植術から始まり,審美領域においてはインプラント埋入後の歯肉の不足を改善する目的での唇側への結合組織移植などが報告され,そして2000年を過ぎると多くの研究者によってさまざまな臨床症...
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Published in | 日本口腔インプラント学会誌 Vol. 33; no. 3; pp. 256 - 265 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
30.09.2020
日本口腔インプラント学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0914-6695 2187-9117 |
DOI | 10.11237/jsoi.33.256 |
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Summary: | 歯科用インプラントは現在欠損補綴のオプションとして広く臨床応用され,今日ほとんどのインプラントの専門医はオッセオインテグレーションの取得は当然のこととして,審美的な外観の獲得にまで焦点を移している.したがって,歯科用インプラント周囲の軟組織の増大というテーマは,ゆっくりとしかし確実に関心のある分野になってきている.インプラント周囲組織への軟組織増大については,1990年代後半より,角化歯肉の不足する部位への遊離歯肉移植術から始まり,審美領域においてはインプラント埋入後の歯肉の不足を改善する目的での唇側への結合組織移植などが報告され,そして2000年を過ぎると多くの研究者によってさまざまな臨床症例が発表されるようになってきた.そして現在では,多くの研究も示されて日常臨床においてインプラントの予知性,審美性の向上のためにさまざまな治療のタイミングで軟組織増大処置が行われるようになってきている.審美的な観点からは,インプラント周囲の硬組織と軟組織の関係が重要であり,結果を改善し,将来の生物学的合併症を最小限に抑えるために,インプラント周囲の軟組織がより重要視されている.そこで今回の本論文のテーマは,文献のレビューからインプラント周囲組織における軟組織増大の有効性を整理することにある. |
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ISSN: | 0914-6695 2187-9117 |
DOI: | 10.11237/jsoi.33.256 |