脳動脈瘤クリッピング術後に失明をきたした4症例の検討

はじめに われわれは関連3施設における1995年10月1日~2004年9月30日までの10年間における開頭動脈瘤クリッピング術637症例の術後合併症を検討した際に,術後失明をきたした症例が4症例みられた.失明をきたした症例を呈示し,原因や患者背景,その後の経過につき検討した.症例 <症例1> 53歳,男性.既往歴:特記事項なし.生活歴:喫煙40本/日.現病歴:他院で頭痛精査時にincidentalにMRIで両側中大脳動脈瘤を指摘され,紹介入院となった.入院後経過:入院後,脳血管撮影ならびに3D-CTA(Fig.1)を施行した.両側中大脳動脈瘤に対して,両側開頭(右→左)動脈瘤頸部ク...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 35; no. 4; pp. 307 - 311
Main Authors 安部, 洋, 池田, 耕一, 平川, 勝之, 土持, 廣仁, 福島, 武雄, 阪元, 政三郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2007
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.35.307

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Summary:はじめに われわれは関連3施設における1995年10月1日~2004年9月30日までの10年間における開頭動脈瘤クリッピング術637症例の術後合併症を検討した際に,術後失明をきたした症例が4症例みられた.失明をきたした症例を呈示し,原因や患者背景,その後の経過につき検討した.症例 <症例1> 53歳,男性.既往歴:特記事項なし.生活歴:喫煙40本/日.現病歴:他院で頭痛精査時にincidentalにMRIで両側中大脳動脈瘤を指摘され,紹介入院となった.入院後経過:入院後,脳血管撮影ならびに3D-CTA(Fig.1)を施行した.両側中大脳動脈瘤に対して,両側開頭(右→左)動脈瘤頸部クリッピング術を行った.手術は仰臥位で上半身を20度挙上し,頭部を対側に30度回転させ,右前頭側頭部に半円弧状の皮膚切開を行い,皮弁を翻転後に釣り針にて固定し,前頭側頭開頭後にpterional approachを行った.続いて左側も同様の操作を施行した.術中両側視神経の損傷はなかった.また術中の収縮期血圧は90mmHg以下にはならず,手術時間は6時間50分で出血量160mlであった.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.35.307