全身性エリテマトーデスに伴った舞踏様運動の一例

【症例】33歳女性.2004年(25歳),全身性エリテマトーデス(SLE)と診断.2007年(27歳),SLEに伴う血球貪食症候群を発症したが,免疫抑制治療により軽快した.以降,SLEの病勢は安定し,prednisolone (PSL) 5 mg/日,tacrolimus 0.5 mg/日で維持治療中であった.2012年11月,右上下肢の不随意運動(舞踏様運動,アテトーゼが混在),一時間程度の右同名半盲を自覚し,緊急入院となった.入院時,軽度の血小板減少,抗dsDNA抗体陽転化,抗カルジオリピン抗体IgG弱陽性,髄液検査で,細胞数や蛋白は正常だが,IgG index上昇を認めた.頭部MRIは,...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 36; no. 6; pp. 467 - 472
Main Authors 高橋, 裕子, 山下, 裕之, 上田, 洋, 狩野, 俊和, 三森, 明夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2013
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.36.467

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Summary:【症例】33歳女性.2004年(25歳),全身性エリテマトーデス(SLE)と診断.2007年(27歳),SLEに伴う血球貪食症候群を発症したが,免疫抑制治療により軽快した.以降,SLEの病勢は安定し,prednisolone (PSL) 5 mg/日,tacrolimus 0.5 mg/日で維持治療中であった.2012年11月,右上下肢の不随意運動(舞踏様運動,アテトーゼが混在),一時間程度の右同名半盲を自覚し,緊急入院となった.入院時,軽度の血小板減少,抗dsDNA抗体陽転化,抗カルジオリピン抗体IgG弱陽性,髄液検査で,細胞数や蛋白は正常だが,IgG index上昇を認めた.頭部MRIは,発症日は異常なかったが,7日後,左淡蒼球に急性期虚血所見を認め,責任病巣と考えた.NPSLE (Movement disorder)と診断し,ステロイドパルス療法後PSL 1 mg/kg/日,免疫抑制剤(rituximab, cyclophosphamide, mycofenolate mofetil),抗血栓療法(heparin, cilostazol),対症療法(ドパミン拮抗薬)を併用した.舞踏様症状は,部分寛解にとどまった.【考察】NPSLEの稀な一病型であるmovement disorderは,舞踏様症状が多く,抗リン脂質抗体が高率に陽性で,病態との関与が示唆されている.画像異常が稀である点を含め,虚血のみでは説明しがたい点が多く,主に免疫機序が想定されている.本症例では,免疫機序,虚血,両者の関与が示唆された点が,教訓的と考えた.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.36.467