単発肺転移を認めた気管原発腺様囊胞癌の1例
背景.腺様囊胞癌は比較的稀な疾患で大多数は気管・主気管支に発生し,通常の腺癌よりも進展は緩やかとされる.症例.82歳女性.呼吸困難を主訴に前医を受診し,気管支内視鏡検査で声門直下に易出血性の腫瘍を認め,当科を紹介された.CTで気管上部に径1.3 cmの結節と右肺S3に径2.6 cmの結節を認めた.硬性気管支鏡下に気管腫瘍切除術を行い,同時に気管支内視鏡下に肺病変の生検を行った.病理組織診断は気管病変・肺病変ともに腺様囊胞癌であった.疫学上,腺様囊胞癌の約90%は区域気管支より中枢側に発生する点から,本症例は,気管原発・肺転移と診断した.気管原発巣に対し放射線療法40 Gyを施行した.放射線療法...
Saved in:
Published in | 気管支学 Vol. 42; no. 1; pp. 82 - 87 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
25.01.2020
日本呼吸器内視鏡学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.42.1_82 |
Cover
Summary: | 背景.腺様囊胞癌は比較的稀な疾患で大多数は気管・主気管支に発生し,通常の腺癌よりも進展は緩やかとされる.症例.82歳女性.呼吸困難を主訴に前医を受診し,気管支内視鏡検査で声門直下に易出血性の腫瘍を認め,当科を紹介された.CTで気管上部に径1.3 cmの結節と右肺S3に径2.6 cmの結節を認めた.硬性気管支鏡下に気管腫瘍切除術を行い,同時に気管支内視鏡下に肺病変の生検を行った.病理組織診断は気管病変・肺病変ともに腺様囊胞癌であった.疫学上,腺様囊胞癌の約90%は区域気管支より中枢側に発生する点から,本症例は,気管原発・肺転移と診断した.気管原発巣に対し放射線療法40 Gyを施行した.放射線療法後1カ月目に,肺転移に対する右上葉切除術を行った.現在,治療後1年が経過し,無再発生存中である.結論.初診時に単発肺転移を認めた気管原発腺様囊胞癌の稀な症例を経験した. |
---|---|
ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.42.1_82 |