クッシング症候群を併発したアミラーゼ産生小細胞肺癌の1例

68歳男性。X年1月に倦怠感・多尿・食思不振にて当院救急搬送となり糖尿病ケトーシスと診断したが,その際の胸腹部CTにて右肺S3腫瘤影と多発肝腫瘤,血液検査にて肝障害と高アミラーゼ血症を認めた。肝生検にて小細胞癌と診断し,全身検索の結果から右肺S3原発の進展型小細胞肺癌でcT1aN3M1b(HEP,ADR)と診断した。CBDCA,VP-16併用療法が奏功し,血清アミラーゼ値が治療効果と相関した。腫瘍組織の免疫染色でアミラーゼ弱陽性であり,アミラーゼ産生小細胞肺癌と診断した。X+1年10月の受診時に倦怠感・脱力・浮腫・皮膚色素沈着および肝障害悪化と低カリウム血症を認めた。尿中カリウム値および血清A...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 68; no. 4; pp. 535 - 542
Main Authors 藤田, 浩平, 荒川, 総介, 村松, 秀樹, 石黒, 文菜, 中尾, 心人, 山守, 越子, 佐藤, 英文, 小澤, 由治, 鈴木, 悠斗, 酒井, 祐輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2019
日本農村医学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.68.535

Cover

More Information
Summary:68歳男性。X年1月に倦怠感・多尿・食思不振にて当院救急搬送となり糖尿病ケトーシスと診断したが,その際の胸腹部CTにて右肺S3腫瘤影と多発肝腫瘤,血液検査にて肝障害と高アミラーゼ血症を認めた。肝生検にて小細胞癌と診断し,全身検索の結果から右肺S3原発の進展型小細胞肺癌でcT1aN3M1b(HEP,ADR)と診断した。CBDCA,VP-16併用療法が奏功し,血清アミラーゼ値が治療効果と相関した。腫瘍組織の免疫染色でアミラーゼ弱陽性であり,アミラーゼ産生小細胞肺癌と診断した。X+1年10月の受診時に倦怠感・脱力・浮腫・皮膚色素沈着および肝障害悪化と低カリウム血症を認めた。尿中カリウム値および血清ACTH・コルチゾール値の上昇認め,下垂体単純MRIにて下垂体とその周囲に異常を認めず,ACTH産生小細胞肺癌によるクッシング症候群と診断した。アミラーゼとACTHを同時産生する小細胞肺癌は非常に稀であり,また治療経過中に新たにACTH産生を認めたことも興味深いと考え報告する。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.68.535