輸血後不規則抗体陽性化症例の臨床経過についての検討

当院で2010年7月1日から2011年8月31日の14カ月間に不規則抗体検査を実施した症例中,輸血後に不規則抗体が陽性化した症例に関して,その頻度および臨床経過を検討した.不規則抗体検査の件数および実患者数は,検査件数16,945件,不規則抗体陽性456件(2.7%),実患者数は9,839例,陽性203例(2.1%)で,陽性203例中臨床的意義のある不規則抗体は93例(0.95% 93/9,839)であった.93例中輸血後に陽性化したのは14例(15% 14/93)であった.輸血実患者数は1,627例で,うち輸血後に不規則抗体検査を行ったのは700例であったため,輸血患者の2.0%(14/70...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 59; no. 4; pp. 579 - 585
Main Authors 押田, 眞知子, 帰山, ともみ, 青地, 寛, 冨山, 佳昭, 清川, 知子, 池田, 珠世, 細川, 美香, 櫻木, 美基子, 永峰, 啓丞, 中尾, まゆみ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 2013
日本輸血・細胞治療学会
Subjects
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.59.579

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Summary:当院で2010年7月1日から2011年8月31日の14カ月間に不規則抗体検査を実施した症例中,輸血後に不規則抗体が陽性化した症例に関して,その頻度および臨床経過を検討した.不規則抗体検査の件数および実患者数は,検査件数16,945件,不規則抗体陽性456件(2.7%),実患者数は9,839例,陽性203例(2.1%)で,陽性203例中臨床的意義のある不規則抗体は93例(0.95% 93/9,839)であった.93例中輸血後に陽性化したのは14例(15% 14/93)であった.輸血実患者数は1,627例で,うち輸血後に不規則抗体検査を行ったのは700例であったため,輸血患者の2.0%(14/700)で輸血後に不規則抗体が陽性化した.さらにこの14例中輸血後30日以内に不規則抗体が陽性化した7例の副作用症状について検討したところ,1例が遅発性溶血性輸血副作用(DHTR),2例がDHTR疑診例で,残り4例は遅発性血清学的輸血副作用(DSTR)と考えられた.またDHTR 1例とDHTR疑診例1例は抗C+抗eが原因であり,これらの抗体のDHTRにおける重要性が示唆された.7例中4例が輸血歴を,女性4例中3例が妊娠歴を有しており,免疫既往のある患者はDHTRやDSTRを起こす可能性が高いと考えられた.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.59.579