Heinz小体の出現を伴う一過性溶血発作を呈した極低出生体重児10例の経験
「緒言」新生児期に見られる一過性溶血発作は, 血液型不適合, 遺伝性球状赤血球症, 赤血球酵素異常症, 異常ヘモグロビン症を原因とすることが多い1. しかし, 近年, 低出生体重児を中心に, これらの明らかな原因がないにもかかわらず, 生後2~3週前後で一過性溶血発作を来たす症例が報告されるようになった. これらの症例の特徴としては, 発症時の赤血球内に, 酸化されたヘモグロビン変性物であるHeinz小体の出現を認める. われわれは, 過去9年間に当院へ入院し, Heinz小体の出現とともに一過性溶血発作が進行した極低出生体重児を10例経験したので報告する. 「方法」1999年1月から2007...
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Published in | 日本医科大学医学会雑誌 Vol. 7; no. 1; pp. 16 - 19 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2011
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ISSN | 1349-8975 1880-2877 |
DOI | 10.1272/manms.7.16 |
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Summary: | 「緒言」新生児期に見られる一過性溶血発作は, 血液型不適合, 遺伝性球状赤血球症, 赤血球酵素異常症, 異常ヘモグロビン症を原因とすることが多い1. しかし, 近年, 低出生体重児を中心に, これらの明らかな原因がないにもかかわらず, 生後2~3週前後で一過性溶血発作を来たす症例が報告されるようになった. これらの症例の特徴としては, 発症時の赤血球内に, 酸化されたヘモグロビン変性物であるHeinz小体の出現を認める. われわれは, 過去9年間に当院へ入院し, Heinz小体の出現とともに一過性溶血発作が進行した極低出生体重児を10例経験したので報告する. 「方法」1999年1月から2007年7月の8年7カ月の間に当院新生児科に入院した, 一過性溶血発作を呈し, 末梢血でHeinz小体を認めた全10例を対象とした. これらの性別, 在胎週数, 出生体重, 発症前の基礎疾患, 人工呼吸管理の有無, 発症時の投与薬, Heinz小体が出現した日齢, Heinz小体を認めた期間, その時の臨床症状, 全赤血球に対するHeinz小体が出現した赤血球の割合とその最高値, Coombs testの結果, 治療経過について検討した. |
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ISSN: | 1349-8975 1880-2877 |
DOI: | 10.1272/manms.7.16 |