常染色体性Alport症候群

「要旨」Alport症候群(AS)は感音性難聴を伴う遺伝性進行性腎疾患である. 高頻度に末期腎不全に至るとされ臨床的に重要な疾患であるが, その臨床像, 自然予後は十分には解明されていない. 今回, 分子遺伝学的特徴および近年報告された家族性良性血尿症候群との関連について, 常染色体性Alport症候群を中心に概要をまとめる. 「Alport症候群とは」Alport症候群(AS)はおよそ5,000人に1人未満の頻度で, 末期腎不全に至る患者の0.3~2.3%を占めるとされるが, 正確な頻度はいまだ不明である. その特徴は進行性腎症で高頻度に末期腎不全に至り, しばしば感音性難聴および眼症状を合...

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 23; no. 1; pp. 8 - 12
Main Authors 松尾, 雅文, 岡, 政史, 飯島, 一誠, 野津, 寛大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 2010
日本小児腎臓病学会
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ISSN0915-2245
1881-3933
DOI10.3165/jjpn.23.8

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Summary:「要旨」Alport症候群(AS)は感音性難聴を伴う遺伝性進行性腎疾患である. 高頻度に末期腎不全に至るとされ臨床的に重要な疾患であるが, その臨床像, 自然予後は十分には解明されていない. 今回, 分子遺伝学的特徴および近年報告された家族性良性血尿症候群との関連について, 常染色体性Alport症候群を中心に概要をまとめる. 「Alport症候群とは」Alport症候群(AS)はおよそ5,000人に1人未満の頻度で, 末期腎不全に至る患者の0.3~2.3%を占めるとされるが, 正確な頻度はいまだ不明である. その特徴は進行性腎症で高頻度に末期腎不全に至り, しばしば感音性難聴および眼症状を合併する. 原因は全身に広く分布する4型コラーゲンの異常である. 遺伝形式とその責任遺伝子は, X連鎖型ASがCOL4A5遺伝子に, 常染色体劣性ASと常染色体優性ASがCOL4A3もしくはCOL4A4遺伝子に異常があるとされている. 「4型コラーゲンの構造と分布」4型コラーゲンは3つのコンポーネント(α鎖)がtriple helix構造を呈し各組織に分布している.
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.23.8