ラット骨欠損の治癒過程におけるウロココラーゲンの効果

臨床で応用されているコラーゲンは,ウシ・ブタ由来のため,人獣共通感染症の危険性を払拭できない.一方,魚の鱗由来のウロココラーゲンは,人獣共通感染症の心配がないとされる.そこで,ウロココラーゲンはウシ・ブタ由来コラーゲンに代わる材料として期待できる.実験動物にラットを用い,頭蓋冠に形成した直径8mm,深さ約2mmの骨欠損にウロココラーゲンスポンジを応用した.術後4週と8週に試料を作製し,マイクロエックス線CTで撮影した.撮影データをもとに,骨欠損に対する新生骨の面積比,骨体積,骨塩量,骨密度を計測して対照群と比較した.新生骨の面積比や骨体積ならびに骨塩量では実験群のほうが多い傾向を示した.また骨...

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Published in日本口腔インプラント学会誌 Vol. 32; no. 2; pp. 148 - 155
Main Authors 戸田, 伊紀, 竹村, 明道, 中西, 功
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本口腔インプラント学会 30.06.2019
日本口腔インプラント学会
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ISSN0914-6695
2187-9117
DOI10.11237/jsoi.32.148

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Summary:臨床で応用されているコラーゲンは,ウシ・ブタ由来のため,人獣共通感染症の危険性を払拭できない.一方,魚の鱗由来のウロココラーゲンは,人獣共通感染症の心配がないとされる.そこで,ウロココラーゲンはウシ・ブタ由来コラーゲンに代わる材料として期待できる.実験動物にラットを用い,頭蓋冠に形成した直径8mm,深さ約2mmの骨欠損にウロココラーゲンスポンジを応用した.術後4週と8週に試料を作製し,マイクロエックス線CTで撮影した.撮影データをもとに,骨欠損に対する新生骨の面積比,骨体積,骨塩量,骨密度を計測して対照群と比較した.新生骨の面積比や骨体積ならびに骨塩量では実験群のほうが多い傾向を示した.また骨密度は,術後4週から術後8週にかけて有意に増加するものの,術後4週では対照群よりも低値であったが,術後8週では対照群とほぼ同じ骨密度となった.これらのことは,ウロココラーゲンは,細胞増殖能や骨芽細胞の初期分化促進機能に優れているとされることから,骨形成に関与する細胞の増殖が進んだためと考えられた.したがって,ウロココラーゲンは骨形成に効果的な要因を持った材料であり,従来のウシ・ブタコラーゲン材料の代用となることが示唆された.
ISSN:0914-6695
2187-9117
DOI:10.11237/jsoi.32.148