当院NICUにおける14年間の死亡症例の検討

目的;日本では,この数年間の新生児医療の発展とともに,新生児の緩和医療が注目されるようになってきた.新生児緩和ケアの現状を知り問題提起するために我々は当院での14年間の死亡症例を振り返り検討した. 対象および方法;2005年1月〜2019年1月までの14年間で,NICUで死亡した54名を後方視的に検討した. 結果;先天性疾患は15名,超低出生体重児は26名,重篤な心疾患は2名,低酸素性虚血性脳症は6名,その他5名であった.17名は鎮静剤を使用していた.9名は胎児診断され,すべてがACP(Advanced Care Planning)を実施していた.胎児診断されていなかった45名のうち32名(5...

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Published in日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 57; no. 3; pp. 434 - 440
Main Authors 小畑, 慶輔, 豊, 奈々絵, 美馬, 文, 丸尾, 伸之, 佐野, 博之, 鍋谷, まこと
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会 2021
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ISSN1348-964X
2435-4996
DOI10.34456/jjspnm.57.3_434

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Summary:目的;日本では,この数年間の新生児医療の発展とともに,新生児の緩和医療が注目されるようになってきた.新生児緩和ケアの現状を知り問題提起するために我々は当院での14年間の死亡症例を振り返り検討した. 対象および方法;2005年1月〜2019年1月までの14年間で,NICUで死亡した54名を後方視的に検討した. 結果;先天性疾患は15名,超低出生体重児は26名,重篤な心疾患は2名,低酸素性虚血性脳症は6名,その他5名であった.17名は鎮静剤を使用していた.9名は胎児診断され,すべてがACP(Advanced Care Planning)を実施していた.胎児診断されていなかった45名のうち32名(59.3%)が集中治療を継続した状態で死亡の転機を辿っていた. 結語;予後予測が難しい重篤な疾患をもつ新生児では,集中治療を行う上で緩和ケアへの移行を繰り返し検討し,集中治療の継続の意義を家族を含めたチームとして熟慮していくことが必要である.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.57.3_434