慢性歯周炎患者に対する包括的歯周矯正治療:10 年経過の 1 症例

症例は,不正咬合を主訴として,2001 年 11 月に来院した 54 歳女性である。下顎前歯部叢生を伴う上顎前突症例であり,中等度慢性歯周炎と診断し歯周基本治療を行った。その後,15 と 41 を抜歯,矯正治療,15,16,25,26 および 32〜43 部の補綴治療を行い,サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)に移行した。初診時,現在歯数 29 歯で,プロービングデプス(PD)平均 3.1 mm,アタッチメントレベル(AL)平均 3.6 mm,PD4 mm 以上51部位(29.3%),プロービング時の歯肉出血(BOP)は86部位(49.4%)で,プラークコントロールレコード(PCR)は...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 54; no. 1; pp. 60 - 70
Main Authors 黒澤, 昌弘, 稲垣, 幸司, 安藤, 和枝, 山口, みどり, 早川, 純子, 野口, 俊英, 櫻井, ゆか, 加藤, 万理, 丸山, 智美, 森, 智恵美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 28.03.2012
日本歯周病学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0385-0110
1880-408X
DOI10.2329/perio.54.60

Cover

More Information
Summary:症例は,不正咬合を主訴として,2001 年 11 月に来院した 54 歳女性である。下顎前歯部叢生を伴う上顎前突症例であり,中等度慢性歯周炎と診断し歯周基本治療を行った。その後,15 と 41 を抜歯,矯正治療,15,16,25,26 および 32〜43 部の補綴治療を行い,サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)に移行した。初診時,現在歯数 29 歯で,プロービングデプス(PD)平均 3.1 mm,アタッチメントレベル(AL)平均 3.6 mm,PD4 mm 以上51部位(29.3%),プロービング時の歯肉出血(BOP)は86部位(49.4%)で,プラークコントロールレコード(PCR)は 80.6%であった。一方,SPT 時(2011年7月),現在歯数 25 歯で,PD 平均 2.5 mm,AL 平均 3.1 mm,PD4 mm 以上1部位(0.7%),BOPは32部位(21.3%)で,PCR は 0.7%と改善され,10 年間,審美的にも良好に経過している。慢性歯周炎に対する歯周矯正治療は,長期的な歯周組織の安定に効果的であった。日本歯周病学会会誌(日歯周誌)54(1):60−70,2012
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.54.60