全身性強皮症に伴う偽性腸閉塞に対してメトロニダゾールが有用であった一例

57才,女性.2000年より近医で関節リウマチに対して各種抗リウマチ薬で加療を受けていたが,症状持続.併存する間質性肺炎(IP)の増悪のため2009年5月当科入院.入院時,手指腫脹,手指から前腕,顔面,前胸部の皮膚硬化,レイノー現象,指尖部潰瘍,舌小帯短縮,食道拡張などを認め,アメリカリウマチ学会分類予備基準(1980年)に基づき全身性強皮症(SSc)と診断.ステロイドパルス療法でIPは改善したが,腹満感,嘔気が出現.腹部CTで小腸・大腸の著しい拡張,腸管壁内空気と腹腔内free airを認め,SScに伴う偽性腸閉塞,腸壁嚢状気腫症およびpneumoperitoneumと診断.絶飲食,イレウス...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 34; no. 1; pp. 53 - 61
Main Authors 東, 直人, 西岡, 亜紀, 飯塚, 政弘, 松井, 聖, 藤田, 計行, 日野, 拓耶, 岡部, みか, 森本, 麻衣, 関口, 昌弘, 北野, 将康, 橋本, 尚明, 佐野, 統
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2011
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Summary:57才,女性.2000年より近医で関節リウマチに対して各種抗リウマチ薬で加療を受けていたが,症状持続.併存する間質性肺炎(IP)の増悪のため2009年5月当科入院.入院時,手指腫脹,手指から前腕,顔面,前胸部の皮膚硬化,レイノー現象,指尖部潰瘍,舌小帯短縮,食道拡張などを認め,アメリカリウマチ学会分類予備基準(1980年)に基づき全身性強皮症(SSc)と診断.ステロイドパルス療法でIPは改善したが,腹満感,嘔気が出現.腹部CTで小腸・大腸の著しい拡張,腸管壁内空気と腹腔内free airを認め,SScに伴う偽性腸閉塞,腸壁嚢状気腫症およびpneumoperitoneumと診断.絶飲食,イレウス管挿入による減圧で改善し,各種消化管機能調整薬とエリスロマイシン(EM)を開始したが,経口摂食再開後再燃した.EMを中止し,メトロニダゾールを開始したところ4日目には腹部X線写真上腸管ガスの減少を認め,腹部症状も改善した.その後も再燃徴候は認めていない.メトロニダゾールの嫌気性菌抑制効果は知られているが,SScに伴う偽性腸閉塞に対して著効したという報告はほとんどされていない.メトロニダゾールは根本的治療法ではないが,有用な治療法の一つと考えられた.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.34.53