慢性歯周炎の急性部位に対するシタフロキサシン経口投与の臨床的および細菌学的効果について

急性症状を呈している慢性歯周炎患者にシタフロキサシンを経口投与し,その臨床効果と細菌学的効果を検討した。慢性歯周炎患者30 名の急性症状部位を実験群とし,慢性部位を対照群とした。シタフロキサシン投与前と投与後6~8 日に臨床所見の診査と歯肉縁下プラークを採取し,PCR-Invader 法で歯周病原細菌4 菌種の検出を試みた。その結果,シタフロキサシンの投与により,臨床所見の評点評価において,急性部位では動揺度以外のすべての項目で有意に改善した。効果判定では疼痛と排膿の項目で「著効」の判定だった。投与前,急性部位からはTannerella forsythia やTreponema dentico...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 56; no. 1; pp. 39 - 48
Main Authors 富田, 幸代, 笠井, 俊輔, 中川, 種昭, 齋藤, 淳, 深谷, 千絵, 井原, 雄一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 2014
日本歯周病学会
Subjects
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ISSN0385-0110
1880-408X
DOI10.2329/perio.56.39

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Summary:急性症状を呈している慢性歯周炎患者にシタフロキサシンを経口投与し,その臨床効果と細菌学的効果を検討した。慢性歯周炎患者30 名の急性症状部位を実験群とし,慢性部位を対照群とした。シタフロキサシン投与前と投与後6~8 日に臨床所見の診査と歯肉縁下プラークを採取し,PCR-Invader 法で歯周病原細菌4 菌種の検出を試みた。その結果,シタフロキサシンの投与により,臨床所見の評点評価において,急性部位では動揺度以外のすべての項目で有意に改善した。効果判定では疼痛と排膿の項目で「著効」の判定だった。投与前,急性部位からはTannerella forsythia やTreponema denticola が,慢性部位ではT. forsythia,Porphyromonas gingivalis が多く検出された。投与後P. gingivalis,T. forsythia は有意に減少した。急性部位(A),慢性部位(C) ともに除菌率はP. gingivalis の値(A 群:72.2%,C 群:100%)が最も高かった。ついでT. forsythia , T. denticola の順であった。以上の結果より,シタフロキサシンの経口投与は慢性歯周炎の急性症状に対し高い効果があることが示唆された。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(1):39-48,2014
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.56.39