当科での誤嚥防止手術症例 —その適応と術後状態の検討

「はじめに」誤嚥防止手術は, 気道と消化管を完全に分離することで誤嚥を防ぎ, 嚥下性肺炎よる死を確実に回避するという目的で行われる. さらにこの手術によって, 気管切開されている患者ではカニューレが不要となる可能性があり, 栄養を経口摂取できていない患者ができるようになる可能性もある. 一方で, 呼吸は永久気管孔からとなり, 気道としての鼻, 口腔の機能や, 特に重大なことには発声を含む喉頭機能が犠牲となる. 学会や厚生労働省班研究からも適応基準が示され, 慎重な適応判断が求められている. 当院は大阪府唯一の難病医療拠点病院であり, 重症の神経難病患者の治療が行われている. 当科ではこれら神経...

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Published in喉頭 Vol. 29; no. 1; pp. 8 - 13
Main Authors 山本, 佳史, 坂田, 義治, 長井, 美樹, 宇野, 敦彦, 宮原, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本喉頭科学会 01.06.2017
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ISSN0915-6127
2185-4696
DOI10.5426/larynx.29.8

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Summary:「はじめに」誤嚥防止手術は, 気道と消化管を完全に分離することで誤嚥を防ぎ, 嚥下性肺炎よる死を確実に回避するという目的で行われる. さらにこの手術によって, 気管切開されている患者ではカニューレが不要となる可能性があり, 栄養を経口摂取できていない患者ができるようになる可能性もある. 一方で, 呼吸は永久気管孔からとなり, 気道としての鼻, 口腔の機能や, 特に重大なことには発声を含む喉頭機能が犠牲となる. 学会や厚生労働省班研究からも適応基準が示され, 慎重な適応判断が求められている. 当院は大阪府唯一の難病医療拠点病院であり, 重症の神経難病患者の治療が行われている. 当科ではこれら神経疾患を含めた様々な症例に対して誤嚥防止手術を行っており, 当科での手術症例について, その適応となった患者背景と, 手術前後での呼吸管理, 栄養摂取の状態を検討した.
ISSN:0915-6127
2185-4696
DOI:10.5426/larynx.29.8