前頭側頭開頭術後の開口制限を予防する工夫

はじめに 前頭側頭開頭術は, 側頭筋に対して侵襲的な開頭法であるため側頭筋損傷に起因する合併症の可能性はいまだ高く, それに対するさまざまな回避策が報告されている. しかしながら, その合併症としてこれまでは側頭筋萎縮による皮膚陥凹といった美容的問題に主に関心が向けられ, 一方の開口制限や咬合機能低下などといった顎運動障害, つまり側頭筋の機能的側面に着目して開頭法を検討した報告はほとんどみられない. その理由として前頭側頭開頭術後は顎運動が制限されるのは当然のことであり咀嚼運動を繰り返すうちになんら後遺症なく自然治癒するものと一般的に認識されていることがあげられる. しかし現状ではそれぞれの...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 34; no. 5; pp. 355 - 359
Main Authors 飯星, 智史, 相馬, 勤, 滝上, 真良, 東山, 巨樹, 中村, 英司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2006
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.34.355

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Summary:はじめに 前頭側頭開頭術は, 側頭筋に対して侵襲的な開頭法であるため側頭筋損傷に起因する合併症の可能性はいまだ高く, それに対するさまざまな回避策が報告されている. しかしながら, その合併症としてこれまでは側頭筋萎縮による皮膚陥凹といった美容的問題に主に関心が向けられ, 一方の開口制限や咬合機能低下などといった顎運動障害, つまり側頭筋の機能的側面に着目して開頭法を検討した報告はほとんどみられない. その理由として前頭側頭開頭術後は顎運動が制限されるのは当然のことであり咀嚼運動を繰り返すうちになんら後遺症なく自然治癒するものと一般的に認識されていることがあげられる. しかし現状ではそれぞれの開頭法で開口量の経時的変化や開口障害の発生頻度などを定量化して客観的に評価, 把握されているわけではない. 今回, われわれは機能的合併症を予防すべく開頭法に若干の工夫を行い, 顎運動の中でも開口制限に焦点を絞り開口量を指標にして有用性につき従来の方法と比較検討したので報告する.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.34.355