腹膜炎が先行し局所麻酔下胸腔鏡検査にて診断に至った両側結核性胸腹膜炎の1例

背景.結核性胸膜炎及び腹膜炎は特異的な検査所見が得られにくく,診断に難渋することが多い.症例.78歳,女性.腹痛を主訴に受診した.原因不明の腹膜炎を認め,その精査中に両側胸水貯留を示し当科紹介となった.単核球優位でadenosine deaminase高値の滲出性胸水を認め,結核性胸膜炎を疑い局所麻酔下胸腔鏡検査を行った.生検した胸膜組織の結核菌核酸増幅法検査,病理所見から結核性胸膜炎と診断し抗結核薬3剤(isoniazid,rifampicin,ethambutol)による治療を開始した.治療開始後,腹膜炎と両側胸水はともに改善を認め,一元的に両側結核性胸腹膜炎と考えられた.結論.腹膜炎が先...

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Published in気管支学 Vol. 45; no. 3; pp. 210 - 214
Main Authors 白髭, 彩, 都島, 悠佑, 横山, 俊彦, 小玉, 勇太, 後藤, 希, 稲垣, 雅康, 松浦, 彰彦, 伊藤, 亮太, 高納, 崇, 中瀬, 敦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.05.2023
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.45.3_210

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Summary:背景.結核性胸膜炎及び腹膜炎は特異的な検査所見が得られにくく,診断に難渋することが多い.症例.78歳,女性.腹痛を主訴に受診した.原因不明の腹膜炎を認め,その精査中に両側胸水貯留を示し当科紹介となった.単核球優位でadenosine deaminase高値の滲出性胸水を認め,結核性胸膜炎を疑い局所麻酔下胸腔鏡検査を行った.生検した胸膜組織の結核菌核酸増幅法検査,病理所見から結核性胸膜炎と診断し抗結核薬3剤(isoniazid,rifampicin,ethambutol)による治療を開始した.治療開始後,腹膜炎と両側胸水はともに改善を認め,一元的に両側結核性胸腹膜炎と考えられた.結論.腹膜炎が先行した後に両側の胸水貯留を呈した特異な経過の結核性胸膜炎に対して,局所麻酔下胸腔鏡検査が診断に有用であった.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.45.3_210