胃壁浸潤を伴う膵尾部癌に対する術前化学療法中に胃内への脾動脈瘤破裂から出血性ショックをきたした1例
症例は80歳男性.胃後壁および脾動静脈浸潤を伴う3.5×3cmの切除可能膵尾部癌で当科紹介された.審査腹腔鏡で胃後壁浸潤を認めたが,明らかな遠隔転移や播種性病変を認めなかった.術前化学療法としてゲムシタビン+nab-パクリタキセル療法を開始した.新型コロナウイルス感染症による手術枠制限の影響があり,3コース終了後に手術の予定としていたが,3コース目開始5日後に吐血し近医へ救急搬送された.近医入院後に出血性ショックとなり,当院へ転院した.腹部ダイナミックCTで,胃後壁に浸潤した腫瘍内への脾動脈瘤破裂による消化管出血と診断した.輸血にてバイタルサインを安定させ,経カテーテル脾動脈塞栓術で止血した....
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Published in | 膵臓 Vol. 37; no. 6; pp. 311 - 317 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本膵臓学会
28.12.2022
日本膵臓学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0913-0071 1881-2805 |
DOI | 10.2958/suizo.37.311 |
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Summary: | 症例は80歳男性.胃後壁および脾動静脈浸潤を伴う3.5×3cmの切除可能膵尾部癌で当科紹介された.審査腹腔鏡で胃後壁浸潤を認めたが,明らかな遠隔転移や播種性病変を認めなかった.術前化学療法としてゲムシタビン+nab-パクリタキセル療法を開始した.新型コロナウイルス感染症による手術枠制限の影響があり,3コース終了後に手術の予定としていたが,3コース目開始5日後に吐血し近医へ救急搬送された.近医入院後に出血性ショックとなり,当院へ転院した.腹部ダイナミックCTで,胃後壁に浸潤した腫瘍内への脾動脈瘤破裂による消化管出血と診断した.輸血にてバイタルサインを安定させ,経カテーテル脾動脈塞栓術で止血した.入院約1ヶ月後に独歩退院したが,退院前のCTで肺転移を認め,非切除となった.脾動脈と胃壁浸潤を伴う膵体尾部癌症例に対する術前化学療法では慎重な対応が必要である. |
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ISSN: | 0913-0071 1881-2805 |
DOI: | 10.2958/suizo.37.311 |