腹腔鏡下胆嚢摘出時に胆管損傷を来した稀な胆嚢肝管の1例

症例は73歳,女性.近医で腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行された.術後胆汁漏を来し,保存的に加療されたが感染コントロールが困難となったため,当院に転院となった.精査を行うとともに,前医術前画像と手術ビデオを確認したところ,胆嚢頚部に胆管前後区域枝が別個に合流する破格があり,これが離断されたことにより胆汁漏を来したと考えられた.術後2週間が経過しており,肝門部から肝周囲にかけて広範に膿瘍を形成していたため,胆道再建は困難と判断,ドレナージ後に肝切除を行う方針とした.肝門部に高度な癒着を認めたが,予定通り肝右葉切除を施行しえた.離断された胆管の同定は困難であった.胆嚢肝管は肝から胆嚢へ直接流入する胆管の破...

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Published in胆道 Vol. 37; no. 5; pp. 896 - 903
Main Authors 後藤, 貴宗, 清水, 明, 窪田, 晃治, 小松, 大介, 野竹, 剛, 増尾, 仁志, 細田, 清孝, 梅村, 謙太郎, 蒲池, 厚志, 富田, 英紀, 山崎, 史織, 副島, 雄二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本胆道学会 31.12.2023
日本胆道学会
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Summary:症例は73歳,女性.近医で腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行された.術後胆汁漏を来し,保存的に加療されたが感染コントロールが困難となったため,当院に転院となった.精査を行うとともに,前医術前画像と手術ビデオを確認したところ,胆嚢頚部に胆管前後区域枝が別個に合流する破格があり,これが離断されたことにより胆汁漏を来したと考えられた.術後2週間が経過しており,肝門部から肝周囲にかけて広範に膿瘍を形成していたため,胆道再建は困難と判断,ドレナージ後に肝切除を行う方針とした.肝門部に高度な癒着を認めたが,予定通り肝右葉切除を施行しえた.離断された胆管の同定は困難であった.胆嚢肝管は肝から胆嚢へ直接流入する胆管の破格であるが,本症例のように前・後区域枝がそれぞれ独立して胆嚢頚部に合流する破格は報告がない.今回,我々は胆管損傷を来した非常に稀な形態の胆嚢肝管の1例を経験したため文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.37.896