EUS-FNAにて印環細胞成分を確認した膵癌の1例
症例は75歳,女性.2か月前からの食思不振があり,当院を受診した.腹部CT検査で長径35mmの膵腫瘍と腹腔内に多発する腫大リンパ節,右肺に長径10mmの腫瘍を認めた.上部消化管内視鏡検査では異常所見を認めなかった.ECOG-PSは2と3の中間程度の状態と考えられたが,積極的抗癌治療の希望があり,全身化学療法を検討する方針とし,膵腫瘍の病理組織学的検査のためにEUS-FNAを施行した.EUS-FNAで採取した検体は,印環細胞が混在する低分化腺癌の病理診断であった.肺転移を伴う膵癌の診断となったが,入院後も食思不振は改善せず,経口摂取がほとんどできない状態であったことから,総合的に化学療法の適応外...
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Published in | 膵臓 Vol. 36; no. 5; pp. 315 - 321 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本膵臓学会
30.10.2021
日本膵臓学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0913-0071 1881-2805 |
DOI | 10.2958/suizo.36.315 |
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Summary: | 症例は75歳,女性.2か月前からの食思不振があり,当院を受診した.腹部CT検査で長径35mmの膵腫瘍と腹腔内に多発する腫大リンパ節,右肺に長径10mmの腫瘍を認めた.上部消化管内視鏡検査では異常所見を認めなかった.ECOG-PSは2と3の中間程度の状態と考えられたが,積極的抗癌治療の希望があり,全身化学療法を検討する方針とし,膵腫瘍の病理組織学的検査のためにEUS-FNAを施行した.EUS-FNAで採取した検体は,印環細胞が混在する低分化腺癌の病理診断であった.肺転移を伴う膵癌の診断となったが,入院後も食思不振は改善せず,経口摂取がほとんどできない状態であったことから,総合的に化学療法の適応外と判断した.EUS-FNAから7日後に自宅退院とし,その後,EUS-FNAから120日後に永眠された.EUS-FNAで得られた検体の中に印環細胞成分を含むことはまれであり,貴重な症例と考え報告した. |
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ISSN: | 0913-0071 1881-2805 |
DOI: | 10.2958/suizo.36.315 |