長期生存を得ている胃癌術後異時性胆嚢転移の1例

症例は70歳男性.67歳時に胃癌のため幽門側胃切除術を施行された.組織型は低分化腺癌であり,pT3N0M0,stage IIIAであった.S-1内服による術後補助化学療法を施行中に副作用の下痢症とヘモグロビン低下を認め,入院し精査加療行ったところ胆嚢腫瘍を認めた.全身検索を行い,胆嚢以外の病変は認めず,PET-CTでも同部位のFDGの著明な取り込みを認めた.術前診断では胆嚢癌と診断し,リンパ節郭清を伴う拡大胆嚢摘出術を施行した.病理検査では,漿膜下組織に濃染した核を有する細胞の小集簇巣を認め,免疫染色のプロファイルも胃癌と類似しており,胃癌胆嚢転移と診断した.術後は2年6カ月無再発で経過してい...

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Published in胆道 Vol. 35; no. 4; pp. 678 - 684
Main Authors 日比野, 貴文, 加藤, 祐一郎, 加藤, 真司, 山口, 直哉, 佐竹, 立成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本胆道学会 31.10.2021
日本胆道学会
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.35.678

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Summary:症例は70歳男性.67歳時に胃癌のため幽門側胃切除術を施行された.組織型は低分化腺癌であり,pT3N0M0,stage IIIAであった.S-1内服による術後補助化学療法を施行中に副作用の下痢症とヘモグロビン低下を認め,入院し精査加療行ったところ胆嚢腫瘍を認めた.全身検索を行い,胆嚢以外の病変は認めず,PET-CTでも同部位のFDGの著明な取り込みを認めた.術前診断では胆嚢癌と診断し,リンパ節郭清を伴う拡大胆嚢摘出術を施行した.病理検査では,漿膜下組織に濃染した核を有する細胞の小集簇巣を認め,免疫染色のプロファイルも胃癌と類似しており,胃癌胆嚢転移と診断した.術後は2年6カ月無再発で経過している.胆嚢転移は非常に予後不良であるが,非治癒因子がなく,根治切除が可能な症例においては外科的切除で長期予後を見込める可能性があると考えられる.術後2年6カ月生存している本例は,報告されている中では本邦最長例である.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.35.678