気管支鏡直視下生検で診断しえたメトトレキサートによる医原性免疫不全症関連リンパ増殖性疾患の1例

背景.メトトレキサート(methotrexate:MTX)は関節リウマチの治療におけるキードラッグであるが,長期内服により多彩な肺病変を呈することが知られている.症例.26歳時から関節リウマチの既往があり43歳時からMTX内服中であった65歳の女性.一週間前から続く発熱,咳嗽を主訴に受診し,胸部CTで両肺多発結節性病変,左顎下及び上縦隔リンパ節,気管分岐下リンパ節腫大を認めた.血液検査ではC反応性蛋白,可溶性インターロイキン2レセプターの上昇,リンパ球数の減少を認めた.気管支鏡検査では,気管内,気管分岐部に白色の不整な隆起性病変を認めた.同部位の直視下生検と左顎下リンパ節の生検では,小~中型リ...

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Published in気管支学 Vol. 45; no. 2; pp. 116 - 122
Main Authors 仲村, 泰彦, 関谷, 宗之, 本橋, 巧, 臼井, 優介, 髙井, 雄二郎, 深澤, 由里, 坂本, 晋, 本間, 栄, 岸, 一馬, 磯部, 和順
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.03.2023
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.45.2_116

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Summary:背景.メトトレキサート(methotrexate:MTX)は関節リウマチの治療におけるキードラッグであるが,長期内服により多彩な肺病変を呈することが知られている.症例.26歳時から関節リウマチの既往があり43歳時からMTX内服中であった65歳の女性.一週間前から続く発熱,咳嗽を主訴に受診し,胸部CTで両肺多発結節性病変,左顎下及び上縦隔リンパ節,気管分岐下リンパ節腫大を認めた.血液検査ではC反応性蛋白,可溶性インターロイキン2レセプターの上昇,リンパ球数の減少を認めた.気管支鏡検査では,気管内,気管分岐部に白色の不整な隆起性病変を認めた.同部位の直視下生検と左顎下リンパ節の生検では,小~中型リンパ球の密な増殖を認め,免疫染色の結果と臨床経過を合わせて,T細胞性のMTXによる医原性免疫不全症関連リンパ増殖性疾患(other iatrogenic immunodeficiency-associated lymphoproliferative disorders:OIIA-LPD)の診断に至った.結論.気管支鏡直視下生検がMTXによるOIIA-LPDの診断に有用であった.本疾患による肺病変を疑った場合には気管支鏡検査を施行し,気道病変を認めた場合には直視下生検を行うべきである.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.45.2_116