無症候性胆管結石のmanagement

無症候胆管結石に対しても,現行のガイドラインではERCPによる内視鏡治療が推奨されている.しかしながら,無症候性胆管結石の自然史については不明な点が多く,無症候性胆管結石に対する積極的な内視鏡治療の妥当性については検討の余地がある.無症候性胆管結石患者におけるERCP関連の偶発症,特にERCP後膵炎のリスクは,症候性患者に比べて高い可能性がある.無症候性胆管結石患者においてERCPによる治療が経過観察よりも良好な結果をもたらすかどうかを検討した前向き研究はなく,ERCP関連偶発症を誘発するリスクと,治療を行わずに経過観察した場合の偶発症のリスクは今のところ天秤にかけられない.無症候性胆管結石に...

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Published in胆道 Vol. 36; no. 5; pp. 583 - 587
Main Authors 木暮, 宏史, 藤城, 光弘, 白田, 龍之介, 中井, 陽介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本胆道学会 31.12.2022
日本胆道学会
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.36.583

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Summary:無症候胆管結石に対しても,現行のガイドラインではERCPによる内視鏡治療が推奨されている.しかしながら,無症候性胆管結石の自然史については不明な点が多く,無症候性胆管結石に対する積極的な内視鏡治療の妥当性については検討の余地がある.無症候性胆管結石患者におけるERCP関連の偶発症,特にERCP後膵炎のリスクは,症候性患者に比べて高い可能性がある.無症候性胆管結石患者においてERCPによる治療が経過観察よりも良好な結果をもたらすかどうかを検討した前向き研究はなく,ERCP関連偶発症を誘発するリスクと,治療を行わずに経過観察した場合の偶発症のリスクは今のところ天秤にかけられない.無症候性胆管結石に対する積極的治療の正当性を明らかにするためには,治療群と経過観察群の長期的な偶発症のリスクを多施設共同研究による多数例で検討する必要がある.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.36.583