切除不能胆道癌に対する光線力学的療法

光線力学的治療は,光感受性物質とレーザー照射による光線力学反応を利用して腫瘍を治療する方法である.胆管癌に対する光線力学的治療は,多くの研究からある程度の生命予後改善効果が示され,抗癌剤治療との併用においても安全性が示されている.さらに,ステント開存期間延長効果を示した研究もある.胆道癌ガイドラインには,本治療を施行しても良いと記載されているが,本邦において胆道癌に保険承認されている光感受性物質やレーザープローブはなく,一般臨床での施行はできない.光線過敏症が代表的な副作用であるが,第二世代のLaserphyrinⓇが開発され肺癌,脳腫瘍,食道癌で保険承認を得ており,より少ない遮光期間で光線過...

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Published in胆道 Vol. 38; no. 2; pp. 153 - 162
Main Authors 坂本, 拡基, 佐藤, 純也, 石渡, 裕俊, 土井, 拓矢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本胆道学会 31.05.2024
日本胆道学会
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.38.153

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Summary:光線力学的治療は,光感受性物質とレーザー照射による光線力学反応を利用して腫瘍を治療する方法である.胆管癌に対する光線力学的治療は,多くの研究からある程度の生命予後改善効果が示され,抗癌剤治療との併用においても安全性が示されている.さらに,ステント開存期間延長効果を示した研究もある.胆道癌ガイドラインには,本治療を施行しても良いと記載されているが,本邦において胆道癌に保険承認されている光感受性物質やレーザープローブはなく,一般臨床での施行はできない.光線過敏症が代表的な副作用であるが,第二世代のLaserphyrinⓇが開発され肺癌,脳腫瘍,食道癌で保険承認を得ており,より少ない遮光期間で光線過敏症のリスクが減少している.本薬剤の胆道癌での保険承認を目指し医師主導治験が2023年から開始となっている.本稿では,胆管癌に対する光線力学的療法の現状と課題,その展望に関して概説する.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.38.153