有床義歯補綴治療前後における咀嚼運動経路のパターンと安定性
有床義歯装着患者の咀嚼機能を評価する目的で,有床義歯装着患者の咀嚼運動経路のパターンと安定性を分析した. 有床義歯装着患者12名にグミゼリーを主咀嚼側で20秒間咀嚼させた時の下顎切歯点の運動をMKGK-6Iで記録した.分析は,はじめに全被験者の咀嚼開始後の第5から第14までの10サイクルについて,運動経路の重ね合わせと平均経路の表示を行い,下顎切歯点の運動経路のパターンを7種類に分類後,各パターンの発現数を調べ,治療前後間で比較した.次いで,運動経路の安定性を表す3指標,すなわち開口時側方成分,閉口時側方成分,垂直成分の各SD/OD(標準偏差/開口量)を算出し,治療前と治療後との間で比較した...
Saved in:
Published in | 日本顎口腔機能学会雑誌 Vol. 17; no. 1; pp. 1 - 5 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本顎口腔機能学会
2010
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1340-9085 1883-986X |
DOI | 10.7144/sgf.17.1 |
Cover
Summary: | 有床義歯装着患者の咀嚼機能を評価する目的で,有床義歯装着患者の咀嚼運動経路のパターンと安定性を分析した. 有床義歯装着患者12名にグミゼリーを主咀嚼側で20秒間咀嚼させた時の下顎切歯点の運動をMKGK-6Iで記録した.分析は,はじめに全被験者の咀嚼開始後の第5から第14までの10サイクルについて,運動経路の重ね合わせと平均経路の表示を行い,下顎切歯点の運動経路のパターンを7種類に分類後,各パターンの発現数を調べ,治療前後間で比較した.次いで,運動経路の安定性を表す3指標,すなわち開口時側方成分,閉口時側方成分,垂直成分の各SD/OD(標準偏差/開口量)を算出し,治療前と治療後との間で比較した. 咀嚼運動経路は,治療前では,種々のパターンを呈していたが,治療後では,ほとんどの被験者が健常有歯顎者の代表パターンを呈し,治療前後間に有意差が認められた.開口時側方成分,閉口時側方成分,垂直成分の各SD/ODは,いずれも治療後のほうが治療前よりも小さくなる傾向を示し,治療前後間に有意差が認められた. これらのことから,有床義歯装着患者の咀嚼機能は,歯科補綴治療により改善すること,また運動経路の安定性とパターンの分析による咀嚼機能の評価が応用できることが示唆された. |
---|---|
ISSN: | 1340-9085 1883-986X |
DOI: | 10.7144/sgf.17.1 |