脳動脈瘤手術における無血的な大脳半球裂やシルビウス裂の剝離を行う手順と工夫

「はじめに」 顕微鏡下の剥離操作は脳神経外科手術の基本手技であり, その中でもシルビウス裂と大脳半球裂の剥離は標準的な動脈瘤の処置を行うにあたり不可欠である. その剥離は正常構造を可能な限り温存しながら無血かつ広範に行われることにより, 脳動脈瘤手術の安全性と根治性の向上を図ることができる. 無血的な剥離操作には, 切るべきtrabeculaを確実に認識できる「術野作り」の技術が必要であり, 本論文ではその「術野作り」の実際を具体例を用いて基本的なことも踏まえ報告する. 「1. 硬膜内操作の前の完全止血」 顕微鏡を用いた硬膜内操作へ移行する前に, 改めて止血が完全か確認する必要がある. 止血が...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in脳卒中の外科 Vol. 41; no. 6; pp. 406 - 410
Main Authors 勝野, 亮, 上森, 元気, 谷川, 緑野, 泉, 直人, 橋本, 政明, 宮崎, 貴則, 川崎, 和凡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2013
日本脳卒中の外科学会
Online AccessGet full text
ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.41.406

Cover

More Information
Summary:「はじめに」 顕微鏡下の剥離操作は脳神経外科手術の基本手技であり, その中でもシルビウス裂と大脳半球裂の剥離は標準的な動脈瘤の処置を行うにあたり不可欠である. その剥離は正常構造を可能な限り温存しながら無血かつ広範に行われることにより, 脳動脈瘤手術の安全性と根治性の向上を図ることができる. 無血的な剥離操作には, 切るべきtrabeculaを確実に認識できる「術野作り」の技術が必要であり, 本論文ではその「術野作り」の実際を具体例を用いて基本的なことも踏まえ報告する. 「1. 硬膜内操作の前の完全止血」 顕微鏡を用いた硬膜内操作へ移行する前に, 改めて止血が完全か確認する必要がある. 止血が不十分な場合には, 硬膜内操作時の術野への‘血液の垂れ込み’が生じ, 切るべきtrabeculaの視認性を悪化させる. したがって当院では硬膜切開前に皮膚, 筋肉, 骨縁また硬膜の止血を「顕微鏡下」で完全に行い, 術野の最下層に位置する硬膜が白い状態で維持されるようにする.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.41.406