完全皮下植込み型除細動器の単回の通常スクリーニングでは,完全に除外できなかったBrugada症候群の1例

2016年2月から,本邦において完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)が使用可能となり,経静脈的に挿入されるICDリードに起因する合併症の軽減が期待される.S-ICDを植込むには,メーカー既定のスクリーニングとして事前に体表面心電図を記録し,T波のオーバーセンシングが予測しうる症例を除外する必要がある.今回,単回のスクリーニング用心電図では植込み適合と判断されたが,別日は不適合となったBrugada症候群を経験した.その症例において,スクリーニング用の心電図記録方法で,トレッドミル運動負荷心電図と12誘導ホルター心電図を実施し検討を行った.波形は頻回に変化し,評価適合と不適合を繰り返していたた...

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Published in心電図 Vol. 37; no. 4; pp. 243 - 254
Main Authors 川下, 隆二, 越智, 真金, 須浪, 夏姫, 森田, 宏, 西井, 伸洋, 伊藤, 浩, 橘, 元見, 細川, 智巳, 青木, 佐知子, 岡田, 健, 亀井, 成美, 信定, さおり
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 22.12.2017
日本不整脈心電学会
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.37.243

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Summary:2016年2月から,本邦において完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)が使用可能となり,経静脈的に挿入されるICDリードに起因する合併症の軽減が期待される.S-ICDを植込むには,メーカー既定のスクリーニングとして事前に体表面心電図を記録し,T波のオーバーセンシングが予測しうる症例を除外する必要がある.今回,単回のスクリーニング用心電図では植込み適合と判断されたが,別日は不適合となったBrugada症候群を経験した.その症例において,スクリーニング用の心電図記録方法で,トレッドミル運動負荷心電図と12誘導ホルター心電図を実施し検討を行った.波形は頻回に変化し,評価適合と不適合を繰り返していたため,本症例においてはS-ICDは適応外と判断された.Brugada症候群は,自律神経などさまざまな影響で心電図波形が変化するため,今回のように単回のスクリーニングのみでは正確に把握できない可能性があり,運動負荷や12誘導ホルター心電図の有用性が示唆された.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.37.243