食道アカラシアによる頸肩部痛が内視鏡的食道筋層切開術で改善した1症例

症例は43歳女性で,両頸部から肩にかけての痛みを主訴に麻酔科を受診した.頸肩部の筋緊張が強いため,筋筋膜性疼痛症候群を疑い,各種神経ブロックを行ったが,効果は一時的であった.また,初診時より,喉頭の絞扼感および嚥下困難が認められたが,軽度であったため経過観察としていた.初診時から5年後,頸肩部痛に加え,嚥下困難および食後頻回の嘔吐を生ずるようになった.嚥下造影検査で食道拡張,造影剤の食道停滞の所見があったため,食道アカラシアと診断された.内視鏡的食道筋層切開術後,嚥下障害は劇的に改善し,頸肩部痛も消失した.この診療経過から,頸肩部痛が食道アカラシアの関連症状であると考えられた....

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 38; no. 5; pp. 606 - 610
Main Authors 木本, 文子, 南, ひとみ, 境, 徹也, 別府, 幸岐, 深野, 拓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.09.2018
Subjects
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.38.606

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Summary:症例は43歳女性で,両頸部から肩にかけての痛みを主訴に麻酔科を受診した.頸肩部の筋緊張が強いため,筋筋膜性疼痛症候群を疑い,各種神経ブロックを行ったが,効果は一時的であった.また,初診時より,喉頭の絞扼感および嚥下困難が認められたが,軽度であったため経過観察としていた.初診時から5年後,頸肩部痛に加え,嚥下困難および食後頻回の嘔吐を生ずるようになった.嚥下造影検査で食道拡張,造影剤の食道停滞の所見があったため,食道アカラシアと診断された.内視鏡的食道筋層切開術後,嚥下障害は劇的に改善し,頸肩部痛も消失した.この診療経過から,頸肩部痛が食道アカラシアの関連症状であると考えられた.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.38.606