産業医の健康管理業務の劣化をもたらす不当廉売による健診品質低下と健診機関の変更
「1. 緒論」2007年頃より, 国の調達は原則競争入札となり, 国家公務員等の健診において, 毎年, 競争入札により健診実施者が決定されている. 都道府県, 政令市等地方公共団体においても同様の動きが広がっている. 競争入札制は経済的には妥当だが, 健診実施者を決定するとき, 落札するための過度な価格競争による健診品質の劣化が危惧されている. また, 競争入札により健診実施者が毎年変更されると, 受診者個人の健診結果報告フォーマット, 判定基準, 検査値の基準範囲や測定方法などが変更され, 産業医の円滑な健康管理業務が困難化すると産業医の間で語られているが, それに関する文献は見当たらない....
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Published in | 日本衛生学雑誌 Vol. 73; no. 3; pp. 413 - 420 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本衛生学会
2018
日本衛生学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5082 1882-6482 |
DOI | 10.1265/jjh.73.413 |
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Summary: | 「1. 緒論」2007年頃より, 国の調達は原則競争入札となり, 国家公務員等の健診において, 毎年, 競争入札により健診実施者が決定されている. 都道府県, 政令市等地方公共団体においても同様の動きが広がっている. 競争入札制は経済的には妥当だが, 健診実施者を決定するとき, 落札するための過度な価格競争による健診品質の劣化が危惧されている. また, 競争入札により健診実施者が毎年変更されると, 受診者個人の健診結果報告フォーマット, 判定基準, 検査値の基準範囲や測定方法などが変更され, 産業医の円滑な健康管理業務が困難化すると産業医の間で語られているが, それに関する文献は見当たらない. そこで, 公益社団法人全国労働衛生団体連合会(全衛連)は, 健診品質をいわゆる「安かろう, 悪かろう」としないため, 調査研究として職域健診を提供する健診機関の責任者, 健診サービスを受ける側である事業場産業医の双方に質問票調査, さらに少数であるが大手企業の事業場産業医に対する聞き取り調査を2015~2016年に実施した. |
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ISSN: | 0021-5082 1882-6482 |
DOI: | 10.1265/jjh.73.413 |