様々な免疫抑制剤や血漿交換療法に抵抗した2歳発症の紫斑病性腎炎VI 型の1 例

要旨 紫斑病性腎炎は,Henoch-Schönlein 紫斑病に合併する腎炎で,ステロイド抵抗性の場合,現在のところ確立された治療方法はない。今回我々は,2 歳発症の紫斑病性腎炎で,ステロイドパルス療法・カクテル療法(シクロフォスファミド・シクロスポリン・ミゾリビンを含む)・血漿交換療法で十分な効果が得られず,ステロイドとミコフェノール酸モフェチルの併用にて不完全寛解に至った1 症例を経験した。本症例は,これまでのHSPN の症例報告のなかでは最年少であり,ISKDC 分類VI 型を呈し,腎予後不良因子とされている半月体形成,持続する高度蛋白尿,高血圧を認めた。さらに,未熟糸球体が多く残存した...

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 28; no. 1; pp. 50 - 54
Main Authors 西, 一美, 長井, 恵, 塩谷, 拓嗣, 宮沢, 朋生, 藤田, 真輔, 杉本, 圭相, 岡田, 満, 竹村, 司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 2015
日本小児腎臓病学会
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Summary:要旨 紫斑病性腎炎は,Henoch-Schönlein 紫斑病に合併する腎炎で,ステロイド抵抗性の場合,現在のところ確立された治療方法はない。今回我々は,2 歳発症の紫斑病性腎炎で,ステロイドパルス療法・カクテル療法(シクロフォスファミド・シクロスポリン・ミゾリビンを含む)・血漿交換療法で十分な効果が得られず,ステロイドとミコフェノール酸モフェチルの併用にて不完全寛解に至った1 症例を経験した。本症例は,これまでのHSPN の症例報告のなかでは最年少であり,ISKDC 分類VI 型を呈し,腎予後不良因子とされている半月体形成,持続する高度蛋白尿,高血圧を認めた。さらに,未熟糸球体が多く残存した状態での発症で,今後の糸球体成熟が障害されて硬化病変が進行することが予想され,腎予後は極めて不良であると思われる。
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.28.50