胸腔鏡手術中に発症した心タンポナーデに対して経食道心エコー図検査が有用であった1症例
胸腔鏡手術中に発症した心タンポナーデに対して,経食道心エコー図検査(TEE)を用いて診断し救命し得た.症例は65歳の男性.左転移性肺腫瘍に対し,右側臥位で胸腔鏡下左肺上大区域切除術が行われた.術中,検体摘出直後に突然収縮期血圧が50mmHgに低下した.胸壁からの出血を認め急速輸液と昇圧剤投与を行ったが,止血完了後も循環動態は安定しなかった.原因検索のためTEEを行い心タンポナーデと診断し,心膜切開後速やかに循環動態は安定した.術中心タンポナーデはまれであるが起こりうる合併症として鑑別が必要である.またTEEは術中の急激な循環不全の際に有用なモニターである....
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Published in | 日本臨床麻酔学会誌 Vol. 36; no. 1; pp. 7 - 10 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床麻酔学会
15.01.2016
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Subjects | |
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ISSN | 0285-4945 1349-9149 |
DOI | 10.2199/jjsca.36.7 |
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Summary: | 胸腔鏡手術中に発症した心タンポナーデに対して,経食道心エコー図検査(TEE)を用いて診断し救命し得た.症例は65歳の男性.左転移性肺腫瘍に対し,右側臥位で胸腔鏡下左肺上大区域切除術が行われた.術中,検体摘出直後に突然収縮期血圧が50mmHgに低下した.胸壁からの出血を認め急速輸液と昇圧剤投与を行ったが,止血完了後も循環動態は安定しなかった.原因検索のためTEEを行い心タンポナーデと診断し,心膜切開後速やかに循環動態は安定した.術中心タンポナーデはまれであるが起こりうる合併症として鑑別が必要である.またTEEは術中の急激な循環不全の際に有用なモニターである. |
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ISSN: | 0285-4945 1349-9149 |
DOI: | 10.2199/jjsca.36.7 |