包括的てんかん診療における薬剤師業務の展開

「緒言」難治てんかんとは, 広義には薬物治療によりてんかん発作が十分に抑制されないてんかんのことである. さらに, 難治てんかんはその成因により, 適切な診断と適切な薬剤選択に基づく薬物治療によってもてんかん発作が抑制されない「真の難治てんかん(薬剤抵抗性てんかん)」と不適切な治療で発作が持続する「見かけの難治てんかん」に大別できる1. 難治てんかんの治療にあたっては, 患者ごとに異なる難治化因子を適切に評価し, それらを治療戦略に反映させることがきわめて重要である1. 1990年代に薬剤師の行動規範のひとつとして薬学的ケア(PC;pharmaceutical care)という概念が提唱された...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 6; no. 1; pp. 34 - 39
Main Authors 浦, 裕之, 福田, 恵子, 太組, 一朗, 寺本, 明, 渡辺, 雅子, 藤野, 修, 小林, 士郎, 定本, 清美, 吉田, 大蔵, 高橋, 弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2010
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ISSN1349-8975
1880-2877
DOI10.1272/manms.6.34

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Summary:「緒言」難治てんかんとは, 広義には薬物治療によりてんかん発作が十分に抑制されないてんかんのことである. さらに, 難治てんかんはその成因により, 適切な診断と適切な薬剤選択に基づく薬物治療によってもてんかん発作が抑制されない「真の難治てんかん(薬剤抵抗性てんかん)」と不適切な治療で発作が持続する「見かけの難治てんかん」に大別できる1. 難治てんかんの治療にあたっては, 患者ごとに異なる難治化因子を適切に評価し, それらを治療戦略に反映させることがきわめて重要である1. 1990年代に薬剤師の行動規範のひとつとして薬学的ケア(PC;pharmaceutical care)という概念が提唱された2,3. 米国医療薬剤師会(ASHP;American Society of Hospital Pharmacists)では, 「PCとは, 患者の生活の質(QOL;quality of life)を改善するという成果が目的であり, そのために薬物療法に関する医療を薬剤師が責任をもって直接配慮し, 提供することである」と定義されている4.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.6.34