頚部内頚動脈解離による脳梗塞を合併したEagle症候群の1例

「はじめに」 Eagle 症候群(茎状突起過長症)は側頭骨の茎状突起が過長, あるいは茎突舌骨靭帯が骨化することが原因でさまざまな症状を引き起こす病態である. 一般的には茎状突起が2.5cm以上となる場合は過長と考えられており, 1937年に耳鼻咽喉科医のWatt W Eagleがはじめて記述している. Eagle症候群には2つのタイプがある. 1つは, 「典型的なEagle 症候群」と呼ばれており, 主に下位脳神経の圧迫や絞扼により, 咽頭痛, 嚥下障害, 顔面痛, 頚部痛を呈する. 一方, 頭蓋外内頚動脈に接することで頚動脈が機械的圧迫を受け狭窄や閉塞をきたし, また, 解離を起こすことで...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 46; no. 3; pp. 210 - 215
Main Authors 入佐, 剛, 大田, 元, 山﨑, 浩司, 内之倉, 俊朗, 竹島, 秀雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2018
日本脳卒中の外科学会
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Summary:「はじめに」 Eagle 症候群(茎状突起過長症)は側頭骨の茎状突起が過長, あるいは茎突舌骨靭帯が骨化することが原因でさまざまな症状を引き起こす病態である. 一般的には茎状突起が2.5cm以上となる場合は過長と考えられており, 1937年に耳鼻咽喉科医のWatt W Eagleがはじめて記述している. Eagle症候群には2つのタイプがある. 1つは, 「典型的なEagle 症候群」と呼ばれており, 主に下位脳神経の圧迫や絞扼により, 咽頭痛, 嚥下障害, 顔面痛, 頚部痛を呈する. 一方, 頭蓋外内頚動脈に接することで頚動脈が機械的圧迫を受け狭窄や閉塞をきたし, また, 解離を起こすことで一過性脳虚血発作や脳梗塞を呈するまれなサブタイプも存在する. 今回, われわれは脳卒中で発症し, 急性期血管再開通療法および茎状突起切除術を施行した結果, 良好な転帰を得られた症例を経験したため, 文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.46.210