プラットフォームスイッチングが近接埋入インプラント間の骨に与える影響について

インプラント周囲の骨やそれを覆う周囲軟組織の吸収を抑制するため,プラットフォームスイッチングが有効であるという数多くの研究が現在までに行われている.一方で隣接する2本のインプラント間距離は3 mm以上必要であるという報告がある.本研究では隣接して埋入する2本のインプラント間距離を短くしたとき,プラットフォームスイッチングがインプラント間の骨に与える影響を明らかにすることを目的とした.カニクイザルを用い,下顎臼歯部に近接して連続する2本のインプラント体を近遠心的距離1.5 mmとして埋入し,一方は非プラットフォームスイッチングに,他方はプラットフォームスイッチングになるよう,テンポラリーアバット...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本口腔インプラント学会誌 Vol. 33; no. 1; pp. 45 - 51
Main Authors 戸田, 伊紀, 牧草, 一人, 安田, 久理人, 江原, 大輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本口腔インプラント学会 31.03.2020
日本口腔インプラント学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0914-6695
2187-9117
DOI10.11237/jsoi.33.45

Cover

More Information
Summary:インプラント周囲の骨やそれを覆う周囲軟組織の吸収を抑制するため,プラットフォームスイッチングが有効であるという数多くの研究が現在までに行われている.一方で隣接する2本のインプラント間距離は3 mm以上必要であるという報告がある.本研究では隣接して埋入する2本のインプラント間距離を短くしたとき,プラットフォームスイッチングがインプラント間の骨に与える影響を明らかにすることを目的とした.カニクイザルを用い,下顎臼歯部に近接して連続する2本のインプラント体を近遠心的距離1.5 mmとして埋入し,一方は非プラットフォームスイッチングに,他方はプラットフォームスイッチングになるよう,テンポラリーアバットメントを装着した.8週後のインプラント間周囲組織を走査電子顕微鏡と光学顕微鏡にて観察を行ったところ,非プラットフォームスイッチング群ではプラットフォーム付近において水平的,垂直的に歯槽骨の吸収が起こっていた.これに対して,プラットフォームスイッチング群ではプラットフォーム付近で垂直的には歯槽骨は保存され,水平的には新生骨が認められ,炎症性細胞浸潤の範囲もより限局されていた.以上の結果より,プラットフォームスイッチングを採用することでインプラント間距離が3 mm以下であっても,健全なインプラント周囲組織が維持される可能性が示唆された.
ISSN:0914-6695
2187-9117
DOI:10.11237/jsoi.33.45