間質性筋炎を呈した慢性再発性多発性骨髄炎の1男児例

発熱と強い下肢痛筋痛を伴った慢性再発性多発性骨髄炎の1例を経験した.症例は11歳1か月の男児.10歳5か月頃から左鎖骨の自発痛を繰り返し認めた.10歳11か月時に発熱,右第1趾の腫脹・疼痛,下肢の疼痛が出現した.血液検査では筋原性酵素の上昇はなく,MRI検査から多発性筋炎が疑われた.筋生検では筋間質に炎症細胞の浸潤を認めた.11歳時より左鎖骨部の腫脹,皮膚の発赤が出現し,MRI検査にて骨髄炎が疑われた.左鎖骨の骨生検と細菌培養を行い,病理組織像は慢性炎症性変化で,細菌培養は陰性であった.FDG-PET/CTにより左鎖骨を含む多発性の骨病変を認めたことから,慢性再発性多発性骨髄炎(chronic...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 36; no. 1; pp. 52 - 57
Main Authors 永嶋, 早織, 野澤, 智, 木澤, 敏毅, 菊地, 雅子, 宮前, 多佳子, 今川, 智之, 稲葉, 裕, 里, 龍晴, 橋本, 邦生, 相田, 典子, 横田, 俊平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2013
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:発熱と強い下肢痛筋痛を伴った慢性再発性多発性骨髄炎の1例を経験した.症例は11歳1か月の男児.10歳5か月頃から左鎖骨の自発痛を繰り返し認めた.10歳11か月時に発熱,右第1趾の腫脹・疼痛,下肢の疼痛が出現した.血液検査では筋原性酵素の上昇はなく,MRI検査から多発性筋炎が疑われた.筋生検では筋間質に炎症細胞の浸潤を認めた.11歳時より左鎖骨部の腫脹,皮膚の発赤が出現し,MRI検査にて骨髄炎が疑われた.左鎖骨の骨生検と細菌培養を行い,病理組織像は慢性炎症性変化で,細菌培養は陰性であった.FDG-PET/CTにより左鎖骨を含む多発性の骨病変を認めたことから,慢性再発性多発性骨髄炎(chronic recurrent multifocal osteomyelitis ; CRMO)と診断した.FDG-PET/CTでは大腿・下腿の筋にも集積を認め,画像的に筋炎の併発と診断した.非ステロイド性抗炎症薬とビスホスホネートにより症状は軽快したが,軽度の炎症反応が残存した.慢性再発性多発性骨髄炎に間質性筋炎を合併した報告はなく,症例の蓄積が必要である.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.36.52