高次脳機能および脳血流評価からみた高齢者未破裂脳動脈瘤直達手術の治療成績とその長期予後

「はじめに」確実に高齢化社会に向かっている本邦では, くも膜下出血発症の高齢化が進み, 最近の脳卒中の死亡統計をみると, 人口10万人あたりのくも膜下出血による死亡者数は, 70歳代前半の24人から80歳代では50-70人へと急激に増加しており6), その死亡者数の約半数が70歳以上の高齢者と推定されている. 一方, 開頭による直達手術では, 治療成績を左右する因子の1つとして, 術後の高次脳機能の低下が注目され, 特に高齢者ではその悪化が危惧される. 近年, 高齢者脳動脈瘤に対するコイル塞栓術の治療適応が拡大しつつあるものの, 高齢者に発見された未破裂脳動脈瘤をどのように扱い, いかに治療す...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 40; no. 5; pp. 303 - 309
Main Authors 大瀧, 雅文, 秋山, 幸功, 金, 相年, 津田, 宏重, 木村, 友亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2012
日本脳卒中の外科学会
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Summary:「はじめに」確実に高齢化社会に向かっている本邦では, くも膜下出血発症の高齢化が進み, 最近の脳卒中の死亡統計をみると, 人口10万人あたりのくも膜下出血による死亡者数は, 70歳代前半の24人から80歳代では50-70人へと急激に増加しており6), その死亡者数の約半数が70歳以上の高齢者と推定されている. 一方, 開頭による直達手術では, 治療成績を左右する因子の1つとして, 術後の高次脳機能の低下が注目され, 特に高齢者ではその悪化が危惧される. 近年, 高齢者脳動脈瘤に対するコイル塞栓術の治療適応が拡大しつつあるものの, 高齢者に発見された未破裂脳動脈瘤をどのように扱い, いかに治療するかは今後も重要な課題である. 当施設では, これまで開頭クリッピングを治療の第一選択とし, 治療ガイドラインに従うとともに, 高次脳機能および局所脳血流を評価して手術適応を決定してきた. 本稿では, 70歳以上の高齢者の未破裂脳動脈瘤直達手術の高次脳機能および局所脳血流に及ぼす影響と手術後の長期予後を自験例で分析し, 治療方針の妥当性を検討する.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.40.303