地球規模汚染物質としての水銀とその曝露評価および健康影響

「はじめに」水銀およびその化合物は, 金属水銀(Hg0), 無機水銀(Hg2+), 有機水銀(メチル水銀:CH3Hg+等)に分類される. 金属水銀は常温・常圧で液体である唯一の金属で, 他の金属と容易にアマルガムを形成することから, 古くから各種金属の精錬に使われた歴史があり, 水銀アマルガムは歯科治療にも用いられてきた. また, 水銀は体温計・気圧計・血圧計などの計測機器および照明器具や乾電池などの電気製品にも使われてきた. 金属水銀は, 電気分解による苛性ソーダの生産における触媒として, 今でも海外では多量に使われている. その他, 水銀化合物は消毒薬の赤チン(マーキロクロム), 農薬や防...

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Published in日本衛生学雑誌 Vol. 73; no. 3; pp. 258 - 264
Main Authors 坂本, 峰至, 村田, 勝敬, 中村, 政明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本衛生学会 2018
日本衛生学会
Subjects
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ISSN0021-5082
1882-6482
DOI10.1265/jjh.73.258

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Summary:「はじめに」水銀およびその化合物は, 金属水銀(Hg0), 無機水銀(Hg2+), 有機水銀(メチル水銀:CH3Hg+等)に分類される. 金属水銀は常温・常圧で液体である唯一の金属で, 他の金属と容易にアマルガムを形成することから, 古くから各種金属の精錬に使われた歴史があり, 水銀アマルガムは歯科治療にも用いられてきた. また, 水銀は体温計・気圧計・血圧計などの計測機器および照明器具や乾電池などの電気製品にも使われてきた. 金属水銀は, 電気分解による苛性ソーダの生産における触媒として, 今でも海外では多量に使われている. その他, 水銀化合物は消毒薬の赤チン(マーキロクロム), 農薬や防カビ剤等のさまざまな薬品としても利用されてきた. しかし, 水銀の使用は人々に健康障害も引き起こした. 日本における水俣病が, その最たるものであるといえる.
ISSN:0021-5082
1882-6482
DOI:10.1265/jjh.73.258