前大脳動脈領域に骨膜と浅側頭動脈を用いた小児もやもや病に対する複合的血行再建術の有用性と問題点

「はじめに」もやもや病は小児や成人に発症し脳梗塞や脳出血をきたす疾患で, 小児では一過性脳虚血発作や脳梗塞など脳虚血症状で発症するものが大半である10). これらの脳虚血症状の出現防止のため血行再建術の有効性は確立されているが1)3)4)8), その多くは中大脳動脈(MCA)領域のみへの血行再建に留まっている. 当院では前大脳動脈(ACA)領域の血流不全に伴う知能低下の出現を危惧し, ACA領域にも骨膜と浅側頭動脈を用いた直接ならびに間接血行再建を行う複合的血行再建術を施行してきた. しかしもやもや病に対する手術の特性から外頚動脈領域に広範な犠牲が生じるため, 術後に頭皮のトラブルを経験するこ...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 42; no. 2; pp. 142 - 146
Main Authors 泉, 直人, 川崎, 和凡, 谷川, 緑野, 勝野, 亮, 橋本, 政明, 上森, 元気
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2014
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.42.142

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Summary:「はじめに」もやもや病は小児や成人に発症し脳梗塞や脳出血をきたす疾患で, 小児では一過性脳虚血発作や脳梗塞など脳虚血症状で発症するものが大半である10). これらの脳虚血症状の出現防止のため血行再建術の有効性は確立されているが1)3)4)8), その多くは中大脳動脈(MCA)領域のみへの血行再建に留まっている. 当院では前大脳動脈(ACA)領域の血流不全に伴う知能低下の出現を危惧し, ACA領域にも骨膜と浅側頭動脈を用いた直接ならびに間接血行再建を行う複合的血行再建術を施行してきた. しかしもやもや病に対する手術の特性から外頚動脈領域に広範な犠牲が生じるため, 術後に頭皮のトラブルを経験することがある. したがって周術期の頭皮トラブルなどの整容的合併症の回避を考慮した手術手技が必要になり, 当院で現在行っている手術方法を細かい留意点とともに, その効果や問題点を報告する. 「対象」2002年3月から2012年10月に当院で血行再建術が行われた小児もやもや病11例20側のうち, 整容的配慮下に同一術式を施行した2008年8月以降の連続6例11側を対象とした.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.42.142