標準12誘導心電図と右胸部誘導および背部誘導を加えた18誘導心電図によるJ波の検討

近年,J波は突然死との関連で注目されている.ここでは標準12誘導心電図と,右胸部誘導や背部誘導を含めた18誘導心電図でのJ波の頻度を検討した.対象は東京医科大学病院循環器内科を受診し,18誘導心電図の記録がなされた連続393例である.伝導障害や心室ペーシング中の例は除外した.右胸部および背部誘導でJ波の頻度を検討し,これらの誘導での実記録と標準12誘導心電図をもとに理論的に導出したJ波を比較検討した.標準12誘導心電図でJ波は150例(38.2%)に認められ,なかでも,II,aVFに多くみられた.これらの症例の18誘導心電図記録では,J波は右胸部誘導に9例(2.3%),背部誘導に102例(26...

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Published in心電図 Vol. 32; no. 3; pp. 221 - 228
Main Authors 佐藤, 政仁, 矢崎, 義直, 寶田, 顕, 中山, 雅文, 松下, 広興, 相澤, 義房, 岡部, 正明, 山科, 章, 富田, 任, 齋藤, 友紀雄, 五関, 善成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 2012
日本心電学会
Subjects
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.32.221

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Summary:近年,J波は突然死との関連で注目されている.ここでは標準12誘導心電図と,右胸部誘導や背部誘導を含めた18誘導心電図でのJ波の頻度を検討した.対象は東京医科大学病院循環器内科を受診し,18誘導心電図の記録がなされた連続393例である.伝導障害や心室ペーシング中の例は除外した.右胸部および背部誘導でJ波の頻度を検討し,これらの誘導での実記録と標準12誘導心電図をもとに理論的に導出したJ波を比較検討した.標準12誘導心電図でJ波は150例(38.2%)に認められ,なかでも,II,aVFに多くみられた.これらの症例の18誘導心電図記録では,J波は右胸部誘導に9例(2.3%),背部誘導に102例(26.0%)で認められた.標準12誘導心電図でJ波が認められなかった243例中の30例(12.3%)で,背部誘導にJ波を認めた.実測の右胸部および背部誘導波形と理論的に求めた波形はよく一致し,J波高も良好な相関を示していた(相関係数0.872~0.965,p<0.001).右胸部や背部のJ波は新しい心電計により予測可能で付加的な情報をもたらすといえるが,J波の成因や意義については今後さらに検討を要する.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.32.221