Flow diverter時代を迎える前に巨大大型脳動脈瘤治療の現状と展望を整理する

「はじめに」 脳動脈瘤は, 複数の治療方法からの選択が可能な時代となり, clippingに代表されるような急激に動脈瘤の形を変える治療と, 動脈瘤内コイル塞栓のように, 基本的には動脈瘤の形を変えない治療を選択することができる. また, 一部の特殊な動脈瘤では, 親血管の温存を図るか犠牲にするかも治療選択のポイントになる. 同時に治療効果の判断基準も変化した. 直後の効果だけでなく, 中長期的な展望も評価の対象になる. 破裂動脈瘤の場合では, 何より直後からの止血の確実性が問題となり, 圧迫症状で発症した大型巨大動脈瘤では圧迫症状の解除を得る必要も出てくる. 中長期における治療の堅牢性として...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 46; no. 3; pp. 177 - 183
Main Authors 田邉, 淳, 師井, 淳太, 石川, 達哉, 小林, 慎弥, 吉岡, 正太郎, 引地, 堅太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2018
日本脳卒中の外科学会
Subjects
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.46.177

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Summary:「はじめに」 脳動脈瘤は, 複数の治療方法からの選択が可能な時代となり, clippingに代表されるような急激に動脈瘤の形を変える治療と, 動脈瘤内コイル塞栓のように, 基本的には動脈瘤の形を変えない治療を選択することができる. また, 一部の特殊な動脈瘤では, 親血管の温存を図るか犠牲にするかも治療選択のポイントになる. 同時に治療効果の判断基準も変化した. 直後の効果だけでなく, 中長期的な展望も評価の対象になる. 破裂動脈瘤の場合では, 何より直後からの止血の確実性が問題となり, 圧迫症状で発症した大型巨大動脈瘤では圧迫症状の解除を得る必要も出てくる. 中長期における治療の堅牢性としては, 治療の完結性の他, 将来のライフイベントへの配慮なども評価の対象とされる. 血管内治療が脳動脈治療のメインストリームに躍り出てから久しいが, それでも巨大大型動脈瘤はbypassを併用しながら母血管ごと犠牲にするflow alterationを中心とする挑戦的治療を必要とすることに変わりはなかった.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.46.177