両側急性硬膜下血腫のみで発症したくも膜下出血を伴わない内頚動脈-後交通動脈分岐部破裂動脈瘤の1例

• Published in: 脳卒中の外科 Vol. 48; no. 4; pp. 254 - 258
• Main Authors: 鰐渕, 博, 大城, 信行, 岡, 美栄子, 川俣, 貴一
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2020; 日本脳卒中の外科学会
• Subjects: acute subdural hematoma; internal carotid-posterior communicating artery aneurysm; ruptured cerebral aneurysm
• ISSN: 0914-5508; 1880-4683
• DOI: 10.2335/scs.48.254

「はじめに」 外傷歴のない急性硬膜下血腫は破裂動脈瘤が原因であることがあるが, くも膜下出血や脳内出血を伴わない例は比較的まれとされ, 両側性ではさらにその報告は少ない. 今回, 両側急性硬膜下血腫のみで発症したくも膜下出血を伴わない内頚動脈-後交通動脈分岐部破裂動脈瘤の1例を経験したため, 文献的考察を交え報告する. 「症例」 患者 : 73歳, 女性. 現病歴 : カラオケでの歌い出しに突然の激しい頭痛と気分不快を訴え, 両上肢強直を呈して反応がなくなり救急搬送された. 同行者の証言では外傷歴は認めなかった. 生活歴 : 飲酒なし, 喫煙なし. 家族歴 : 特記事項なし. 既往歴 : 左三叉神経痛術後(詳細不明), 肝機能障害(他院で2008-2014年精査, 原因不明で自然軽快), 高血圧症, 脂質異常症. 来院時常用薬 : オルメサルタン40mg/日, エゼチミブ10mg/日, ファモチジン20mg/日. 来院時所見 : Japan Coma Scale(JCS)I-1, 血圧162/77mmHg, 脈拍65回/分, 動脈血酸素飽和度94%(室内気下), 来院時意識は改善し神経脱落所見はなく, 明らかな外傷を認めなかった.