Pipeline Flexを用いた大型・巨大脳動脈瘤治療の初期成績とpitfalls

「はじめに」 大型・巨大脳動脈瘤に対する血管内治療は, これまで動脈瘤コイル塞栓術や母血管閉塞術が行われてきた. しかし, バルーンやステントを併用しても大型・巨大動脈瘤では閉塞率は低く, 再開通率が高いことが知られており, 母血管閉塞術後には, 術後の脳虚血や血行動態の変化による新たな動脈瘤発生が問題となる. 近年, このような根治的治療が困難と考えられる脳動脈瘤を対象とする血管内治療機器としてフローダイバーター(flow diverter: FD)と総称されるステントが開発され, 臨床使用が始まった. FDは従来のコイル塞栓術支援用ステントとは異なり, メッシュが非常に密になっており, ネ...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 46; no. 3; pp. 171 - 176
Main Authors 河村, 洋介, 高野, 一成, 中江, 竜太, 平田, 浩二, 鈴木, 亮太郎, 滝川, 知司, 永石, 雅也, 田中, 喜展, 兵頭, 明夫, 鈴木, 謙介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2018
日本脳卒中の外科学会
Subjects
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.46.171

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Summary:「はじめに」 大型・巨大脳動脈瘤に対する血管内治療は, これまで動脈瘤コイル塞栓術や母血管閉塞術が行われてきた. しかし, バルーンやステントを併用しても大型・巨大動脈瘤では閉塞率は低く, 再開通率が高いことが知られており, 母血管閉塞術後には, 術後の脳虚血や血行動態の変化による新たな動脈瘤発生が問題となる. 近年, このような根治的治療が困難と考えられる脳動脈瘤を対象とする血管内治療機器としてフローダイバーター(flow diverter: FD)と総称されるステントが開発され, 臨床使用が始まった. FDは従来のコイル塞栓術支援用ステントとは異なり, メッシュが非常に密になっており, ネックを覆い母血管内に留置することで動脈瘤内の血行動態を変化させて血栓化を惹起し, 新生内膜による血管修復と再構築をもたらす新しいデバイスである. わが国では, 2015年4月にFDの1つであるPipeline Flex (PF; Covidien/Medtronic, Irvine, CA, USA)が薬事承認され, 特定の実施医療機関, 実施医による使用のみが可能となっている.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.46.171