抗凝固療法中および抗血小板療法中に発症した脳内出血の検討

「はじめに」脳内出血(ICH)は, いまだ高い死亡率とともに重篤な機能障害を後遺症として残しうる疾患である11)13). 近年, 非弁膜症性心房細動における抗凝固療法(AC)患者の増加や脳卒中二次予防を目的とした抗血小板療法(AP)患者の増加に伴い, 抗血栓療法に関連した脳内出血の頻度が急増していると報告された4). しかし, それらの患者の機能予後および予後関連因子に関する研究は少ない. AC関連ICH患者の入院死亡率および機能予後不良率は非AC関連ICH患者に比べ高く, その原因としてICH発症時の血腫量が大きく, 急性期の血腫増大率が高いことがあげられている13)14). これに対して,...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 36; no. 2; pp. 100 - 105
Main Authors 本岡, 康彦, 川口, 哲郎, 木村, 英仁, 溝部, 敬, 齋藤, 実
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2008
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.36.100

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Summary:「はじめに」脳内出血(ICH)は, いまだ高い死亡率とともに重篤な機能障害を後遺症として残しうる疾患である11)13). 近年, 非弁膜症性心房細動における抗凝固療法(AC)患者の増加や脳卒中二次予防を目的とした抗血小板療法(AP)患者の増加に伴い, 抗血栓療法に関連した脳内出血の頻度が急増していると報告された4). しかし, それらの患者の機能予後および予後関連因子に関する研究は少ない. AC関連ICH患者の入院死亡率および機能予後不良率は非AC関連ICH患者に比べ高く, その原因としてICH発症時の血腫量が大きく, 急性期の血腫増大率が高いことがあげられている13)14). これに対して, AP関連ICHでは, 抗血小板薬の服用が死亡率の独立危険因子とする報告12)16)やICH発症時の血腫量に差はないものの血腫増大率が高いとする報告14)がある一方, 年齢と入院前modified Rankin Scale(mRS)を補正して評価すると, AP自体が機能予後不良や高い死亡率の独立した危険因子とはならないとする報告もあり5), 見解が一定していない.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.36.100