非症候群性遺伝性難聴に報告された, 前庭症状と原因遺伝子のデータベース・文献的検討

「緒言」近年数多く報告されている遺伝性難聴家系のなかには, 前庭症状をきたす家系もある. これらの家系において, 前庭症状の原因と考えられる遺伝子が同定されれば, 次にはその遺伝子・蛋白質の機能を研究することが可能になる. そしてこれらの試みはめまいの病態を分子レベルで解明し, 予防・治療法を検討することにつながりうる. 遺伝性難聴については近年, 次世代シークエンサーにより, 臨床検体DNAからヒトの全遺伝子配列を解析することが可能となった. 我が国では2008年から先天性難聴の遺伝子診断が保険収載されており, 現在では19遺伝子の154変異を日常臨床の場で検討することが可能となっている....

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Published inEquilibrium Research Vol. 80; no. 2; pp. 63 - 74
Main Authors 池園, 哲郎, 前田, 幸英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 30.04.2021
日本めまい平衡医学会
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ISSN0385-5716
1882-577X
DOI10.3757/jser.80.63

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Summary:「緒言」近年数多く報告されている遺伝性難聴家系のなかには, 前庭症状をきたす家系もある. これらの家系において, 前庭症状の原因と考えられる遺伝子が同定されれば, 次にはその遺伝子・蛋白質の機能を研究することが可能になる. そしてこれらの試みはめまいの病態を分子レベルで解明し, 予防・治療法を検討することにつながりうる. 遺伝性難聴については近年, 次世代シークエンサーにより, 臨床検体DNAからヒトの全遺伝子配列を解析することが可能となった. 我が国では2008年から先天性難聴の遺伝子診断が保険収載されており, 現在では19遺伝子の154変異を日常臨床の場で検討することが可能となっている. この間2010年には次世代シークエンサーによる難聴の遺伝子診断が初めて報告された. この技術開発により, 2010年以後には遺伝性難聴家系で, まれな遺伝子変異が多数同定されるようになった. 非症候群性遺伝性難聴とは, 難聴(およびめまい)のみの臨床症状を呈する遺伝性難聴である.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.80.63